「いかにも英国映画」日の名残り おひねるさんの映画レビュー(感想・評価)
いかにも英国映画
昔、原作(日本語訳)を読んだ時、執事(ホプキンス)の一人称で語られていたと記憶するけれど、この映画では全てが客観視された物語になっている。
実は彼には、かつて仕えたご主人様に関してどうしても隠したいことがあり、原作が一人称で語られるときにはそれが巧妙に隠され、わざとわかりづらくされていた。ところが三人称の映画ではあからさまとなり、原作の味わいがない・・・こともなく、この主演俳優の、切なさが抑制された重厚な演技により、むしろ魅力が増している。共演のエマ・トンプソンも見事だ。
ダウントン・アビーのような御屋敷での、静かな日常と喧騒の繰り返しがいかにも英国映画の雰囲気を醸し出す。独特の田園風景も美しい。これらは他の国の映画には望むべくもないものだ。
かつてスーパーマンを演じたクリストファー・リーブが新興の米国人財閥として出てくるが、彼の明るさと功利主義的な態度が、英国貴族の「ご主人様」と明らかな対照を見せて興味深い。
コメントする