劇場公開日 1994年3月19日

「悔いのない人生なんて・・・。」日の名残り メイばばさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0悔いのない人生なんて・・・。

2019年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

「日の名残り」もっと理解したかったので今日で2度目です。

私が若い頃観たり読んだりした素晴らしい本、映画を彷彿させる作品で感激しました。
長編小説を、読み終わった後の満足感も味わえました。カズオ・イシグロさん凄い!

主人公のスティーヴンは絵に書いた様な執事でダーリントンホールでは
きわめて重要な人物ですよね。”忠義”という言葉がぴったりです。
(アンソニーホプキンスは適役で、最初に出てきた瞬間からスティーヴンでした。)
でも何か欠落していると感じたのはミス・ケントンが屋敷に来てからです。
それからのストーリー、頑なな彼が所々で乱れていく様がなんか可笑しかった。
彼女もそんな彼に惹かれていく気持ち解るわー。
(恋愛小説をスティーヴンが読んでいる所にミス・ケントンが来ての会話、もう―もどかしい!)
応じてくれないのは・・・プライド、年齢、執事としてしか生きて来なかったから?

さて、ダーリントンホールとても素敵なお屋敷で、魅せられてしまいましたよ。
この館の中で、不穏な時代の秘密会議、何を根拠にして自身の是非を語るのか、そんな事も考えました。
間違った戦争に加担してしまった城主のもとで働きながらスティーヴンは
それを諌める事もせず、従順であるそれは罪か?

後半ミス・ケントンに会いに行った際、ある人にガソリンを貰い
城主の過ちに対し否定もできなかった事を「あなた自身の気持ちは?」問われ
「私自身も私なりに過ちを犯したのです。その過ちを正しにこのたびに出た」と答えるでしょ。
彼の転機の時でした、それは報われなかったけれどね。

ケントンとの別れのシーン良かったわね。
あの握手した手が離れ、日が落ちた雨の中で濡れていました。
これから日の名残りの人生で彼はどんな生き方をするのでしょうね。

メイばば