劇場公開日 1958年6月6日

「「奇跡の人」との出来の落差には驚かされるばかりで…」左きゝの拳銃 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0「奇跡の人」との出来の落差には驚かされるばかりで…

2025年7月9日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アーサー・ペン監督の傑作「奇跡の人」が
この作品の失敗から生まれたとのネット記事
もあり興味深く鑑賞した。

米国内での不評に加え、キネマ旬報でも
何の評価も得られなかったようだが、
「奇跡の人」と何が異なるのか、
また、NHKの放映でも、
あえて制作順番とは入れ替えて放映した狙い
もあったのだろうと思い、
そんな興味もあり放映順に鑑賞してみた。

さて、実際に鑑賞してみて、
確かに、「奇跡の人」との出来の落差には
驚かされるばかりだった。
冒頭は宗教の観点や
人格者である牛飼いのリーダーの存在から、
ビリー・ザ・キッドの単なる殺人鬼とは
異なる視点での展開が期待されたが、
少しは彼の苦悩や理由付けはあったものの、
結局は残虐な殺人鬼に終始する人物像にしか
感じられない描写が続いた。
そもそもが、
登場人物一人一人の関係の説明や、
ボスは殺害されたものの牧童グループの
牛売りの話はどうなったのか、
その中の3人がどうそのグループから抜けて
復讐に走ったのか等々、話の展開の整合性に
おいての未整理なバラバラ感が気になり、
脚本なのか演出が原因なのかは不明だか、
作品の中に入り込むことが出来なかった。

しかし、
この作品の反省的検証を元にだったのか、
4年後に、ラストシーンに向け、
全ての要素が集約されていく感が見事な
傑作映画「奇跡の人」が生まれたのだとしたら
意味ある作品だったのかも知れない。

KENZO一級建築士事務所