「儚い少女たちと不可思議な謎が幻想的な雰囲気を増す」ピクニック at ハンギング・ロック 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
儚い少女たちと不可思議な謎が幻想的な雰囲気を増す
岩山へピクニックへ出かけた名門女学園の生徒たち。そこで、数人の女生徒が忽然と姿を消す…。
1900年にオーストラリアで実際に起きた事件を映画化した、1975年のオーストラリア映画。
事件の真相を巡って、様々な諸説が挙げられている。
神隠し説、殺人説、事故説、生け贄説、果てはUFO連れ去り説まで。
事件は迷宮入りとなっている為、真実は分からないが、映画は“神隠し説”にスポットを当てたような作風になっている。
それを象徴しているのが、甘美な映像。幻想的な雰囲気を醸し出している。
また、純真無垢な女生徒たちと彼女たちを取り巻く人間模様が何処か不条理なドラマを作り上げている。
少女。
“女の子”とも“女性”とも違う、あどけなさを残しつつも繊細で多感な時期。
少女でいられるのは、女の子が大人の女性へと変わるほんの一時。それこそ神隠しの如く一瞬で消えてしまう。
儚いその存在が、謎の失踪事件を、神秘的にすら感じさせてしまう。
映画は謎に迫る本格ミステリーではない為、それを期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、不思議な世界観と語り口には魅了される。
名匠ピーター・ウィアーの出世作。
失踪する少女の一人、レイチェル・ロバーツがハッとするほど綺麗。
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