ピーター・グリーナウェイの枕草子
劇場公開日:1997年7月19日
解説
日本の平安時代の古典、清少納言の随筆『枕草子』をモチーフに織りなされる、異色の映像絵巻。監督・脚本は「プロスペローの本」「ベイビー・オブ・マコン」などの鬼才ピーター・グリーナウェイで、本作では書・カリグラフィーを全編に導入し、独特の映像表現を展開している。製作はグリーナウェイと「ZOO」以降コンビを組むキース・カサンダー。製作総指揮はテリー・グリンウッド、デニス・ウィッグマン、ジャン=ルイ・ピエル。撮影は「ZOO」以降のパートナー、サッシャ・ヴィエルニー。音楽は前作「ベイビー・オブ・マコン」に続き、グリーナウェイが自由に選曲、日本の場面で雅楽や中国歌謡、軍歌などが流れるのをはじめ、アフガニスタン・トラッド、ゲッシュ・パティ、U2ほか、種々雑多な曲が使用される。美術・衣裳デザインは「プロスペローの本」でグリーナウェイと組んだワダ・エミ。編集はグリーナウェイとクリス・ワイアット、衣裳は「ダメージ」に参加した立野浩二、近未来デザインはタナカノリユキ、インテリア・コーディネイトはアンドレ・プットマン、書・カリグラフィーはブロディ・ノイエンシュヴァンダーと屋良由希。主演は「ラスト・エンペラー」「ジョイ・ラック・クラブ」などのヴィヴィアン・ウー。共演は「GONIN2」の緒形拳、ピーター・ブルック劇団の常連である舞台の名優オイダ・ヨシ、「上海バンスキング」の吉田日出子、「Emma エマ」のユアン・マクレガー、「800 TWO LAP RUNNERS」の河合みわこほか。
1996年製作/127分/イギリス・フランス・オランダ合作
原題または英題:The Pillow Book
配給:エース ピクチャーズ配給(エース ピクチャーズ=バップ提供)
劇場公開日:1997年7月19日
ストーリー
京都。旧家に生まれた清原諾子(ヴィヴィアン・ウー)は幼い頃から、書道家である父(緒形拳)の手で顔や体に書を書いてもらう喜びを感じて成長した。中国人の母親(ジュディ・オング)叔母(吉田日出子)が好きな中国歌謡が流れるなか、枕元で清少納言を読んでくれる。諾子の空想の中で、清少納言(吉田日出子=二役)は特別な存在だった。だが、経済的に苦しむ父親は、出版社の社長(オイダ・ヨシ)に生活のため体を奪われるなど、屈辱に耐えていた。18歳の諾子(河合みわこ)は、その出版社社長の甥(光石研)と結婚させられるが、文学も理解せず、無道な振る舞いが続く彼を捨て、新居に放火して、彼女は母の故郷・香港へ逃れた。下積み生活からモデルとして成功を収めた彼女はメイド(吉田日出子=三役)を雇い入れ、豪奢な生活を始めるが、なぜか満たされない。行きずりの男たちに自分の肌に書を書かせて、理想の男を探し求める。そんな中、ついにめぐりあったのが、英国人の翻訳家ジェローム(ユアン・マクレガー)。お互いに書を通じて肌を委ね、悦楽に浸る二人。だが、蜜月は続かない。諾子は自分の裸体の書を写真に収めて出版社に売り込むが、そこであの出版社社長と再会する。あろうことかジェロームは彼の愛人でもあった。ジェロームの提案で、彼の体に書をしたため、諾子は社長の元に送りだす。はたして出版社社長は彼を手放さず、諾子は二人の情事を目撃して衝撃を受ける。父と恋人の体を奪った仇に対し、嫉妬と復讐に燃える諾子。彼女は出版社に次々に人間の書を送りだす。一方、諾子に会えない焦燥からジェロームは『ロミオとジュリエット』を真似て狂言自殺、だがそのまま帰らぬ人に。諾子は彼に第六の書『愛人の書』を書きつけて埋葬し、故郷に戻る。彼女は妊娠していた。だが、あの社長がジェロームの墓を暴き、彼の遺体から1冊の本をつくりだしたと聞くや、諾子は再び人間の書を再開。第十三の書は『死の書』。彼女は復讐を遂げた。女の子を生んだ諾子は、父がしたように、幼い娘の顔に書を書き入れるのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ピーター・グリーナウェイ
- 脚本
- ピーター・グリーナウェイ
- 原作
- 清少納言
- エグゼクティブプロデューサー
- テリー・グリンウッド
- ジャン=ルイ・ピエール
- デニス・ウィグマン
- 製作
- キース・カサンダー
- 撮影
- サッシャ・ヴィエルニー
- 美術
- アンドレ・プットマン
- ウィルバート・ファン・ドープ
- ワダエミ
- 近未来デザイン
- ノリユキ・タナカ
- インテリア・コーディネーター
- アンドレ・プットマン
- 録音
- ガース・マーシャル
- 特殊照明効果
- レイニア・ファン・ブルメーレン
- 編集
- ピーター・グリーナウェイ
- クリス・ワイアット
- 衣裳
- ワダエミ
- 立野浩二
- 字幕
- 齋藤敦子
- 書・カリグラディー
- ブロディ・ノイエンシュヴァンダー
- 屋良由希
受賞歴
第49回 カンヌ国際映画祭(1996年)
出品
ある視点部門 | |
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出品作品 | ピーター・グリーナウェイ |