「【”昔の日々を返してくれ!と哀しい表情で男は言った。そして、ユーゴスラビア紛争が齎した闇。”今作は、ハラハラ感が尋常でないドリームワークス初作品であり、強烈な反戦争、反核映画でもある。】」ピースメーカー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”昔の日々を返してくれ!と哀しい表情で男は言った。そして、ユーゴスラビア紛争が齎した闇。”今作は、ハラハラ感が尋常でないドリームワークス初作品であり、強烈な反戦争、反核映画でもある。】
<Caution! 冒頭、不快に思われる方が多いと思われるシーンがあります。>
■ロシアから盗み出された10発の核弾頭を追跡する、対テロを専門にした国防省のデヴォー大佐(ジョージ・クルーニー)と原子力科学者のケリー博士(ニコール・キッドマン)。
イランに向け輸送に用いられたトラックを特定するも、8発の核弾頭しか奪還できず、三機のヘリコプターのうち、一機は撃墜されてしまう。
やがて残る1発が、ボスニアの外交官デューサン・ガブリックによってナント、ニューヨークに持ち込まれたことを掴む。
◆感想
・冒頭の、ロシア軍用列車からの核弾頭強奪シーンから、場面がドンドンと核弾頭が運ばれて行くシーンの変化が激しく、一気に引き込まれる。
ご存じの通り、今作が初制作作品となるスティーヴン・スピルバーグらが設立した”ドリームワークス”はその後、数々の名作を世に送り出しているが、今作を観るとその片鱗が伺える。
・観ている側は、最初はイラン関係の物語かと誤誘導されるが、徐々に明らかになるユーゴスラビア紛争により、生まれた哀しみと憎しみ。
ー ユーゴスラビアが、多民族国家でありその後、様々な悲惨な紛争を経て解体され、民族間での諍いは今でも続いている。
だが、この作品はその悲劇の元凶は、各民族に武器を提供した事である、と言う点を焦点にしている。
今でも、世界の状況は変わっていない事は、ご存じの通りである。-
・ボスニアの外交官デューサン・ガブリックの妻と娘が、紛争により亡くなるシーンは悲しい。血だらけの二人に駆け寄るガブリック。
そして、ニューヨークでデヴォー大佐とケリー博士に教会の中に追い詰められたガブリックは、”昔の日々を返してくれ。”と言い、自ら頭に銃弾を叩き込み息絶えるのである。
■ここからの、核弾頭のコアな部分を外そうとするケリー博士の奮闘は、尋常でないハラハラ感である。そして、ギリギリ核弾頭の起動部分だけを外し爆発が起こるシーン。
<今作は、ジョージ・クルーニー、ニコール・キッドマンの二大スター共演のサスペンスアクション映画であり、強烈な反戦争、反核を訴える映画だと思いたい作品である。>