「別味のハード・アクション映画」ピースメーカー odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
別味のハード・アクション映画
BSでやっていたので再度鑑賞。ミミ・レダー監督は異色の美男・美女コンビでハード・アクション映画を撮りたかったのでしょう。
ミミ監督は知的なインテリ女優が好みだしニコール・キッドマンも女性監督の作品を好んで出るので有名、ミラ・ジョヴォヴィッチのようなタフなヒロインでなく女性らしさを失わないことが重要だったのでしょう。監督はわざわざ病床の黒澤明監督を見舞いに来日したほどの黒澤ファンで私の三船敏郎はジョージ・クルーニーと言っていたらしい。
だいたいのシチュエーションは女性上司を助けるイケメン部下。核物理学者ニコール・キッドマンが米国の核密輸対策班のリーダー、助っ人としてやってきたのがソ連軍に人脈を持つ陸軍大佐ジョージ・クルーニー、この時点で文官の女性科学者が作戦指揮はおかしいでしょうし、国際テロ捜査なら陸軍よりCIAの出番でしょう。
実戦には不向きな女性指揮官と頼りになるタフでハンサムな将校、特に凛々しい制服姿に女性客は弱いと狙ったのでしょうか。美男美女を揃えながらも変に甘ったるいラブシーンを入れていないのでほどよい緊張感が持続します。
核爆弾に詳しい博士ということでニコールキッドマンの役どころも最後で納得、でもあれだけプルトニウムを浴びたら助かる訳はないでしょうね。敵役のテロリストの描き方も微妙、武器商人を操る米国政府のやり方はピースメーカーを騙る偽善者との告発もどき。一面、真理とはいうものの9.11後の製作だったら難しかったでしょう。
核兵器強奪事件に端を発しニューヨーク・テロへの発展は見応え十分だが「10の核を盗む連中より一個の核を欲しがる者のほうが怖い」というキッドマンのセリフでピンとくるし早々に黒幕が登場してしまうので謎解き感はあまりない。
女性監督らしさが詰まったタランティーノやリュック・ベッソンとは一味違ったハード・アクション映画でした。