「ギリシャ神話」ピアノ・レッスン(1993) SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
ギリシャ神話
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苦手なジャンルなのだが、予告編にすごく惹かれたので観ることにした。
チャタレイ夫人的な?
今の時代だったら違う表現になっただろうなー、と思うところが多々あり、ここ最近で急激に男女観が変わったということを思った。
男ならではの愚かさ、女ならではの愚かさ、というのを描くとステレオタイプだと批判されてしまう昨今だけども、ぼくはそういう物語も抒情的で良いと思う。
主人公の病的で耽美な演技も良いのだけど、娘の明るく無邪気な感じもとても良い。
美しい母子というのは、ギリシャ神話のアフロディーテーとエロスを連想する。
娘が天使の翼をしょっているのでなおさら。
アフロディーテーは愛と美と性を司る、海の泡から誕生した女神である。
主人公がその美しさで男性たちを魅了したり、海からやってきて海に還っていくのも、主人公が美の神であるという暗喩だろうか。
また、アフロディーテーとエロスは怪獣におそわれたときに魚に変身し、逃げた、という物語がある。このとき、母子がはなればなれにならないように、「ひも」で結んだ。この「ひも」で結ばれた二匹の魚の姿が魚座の由来になったという。最後、主人公とピアノを結んだ「ひも」を思わせる。
言葉を話せないとか、黒鍵の数だけ来るように約束させるとかも、なんか神話っぽくていい。
最後、「悲劇」ではなく、「再生」の物語になるところも良かった。ピアノは海中に捨てられることによって、永遠になったのだなあ、というか…。「タイタニック」のエンディングを思わせる。
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