「ジェーン・カンピオン監督の重厚で心揺さぶられる名作」ピアノ・レッスン(1993) Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
ジェーン・カンピオン監督の重厚で心揺さぶられる名作
本作、4Kリバイバル上映で1994年の初公開以来30年ぶりに観ましたが、全く色褪せることのない傑作にあらためて心打たれました
スコットランドからニュージーランドのまだ見ぬ夫に嫁いできたエイダを演じるホリー・ハンターさんがすごく綺麗、劇中のピアノ演奏シーンは本当にホリーさん自身が演じたというのも素晴らしいし、本作でオスカー主演女優賞に輝いた演技には終始圧倒されます
そして同じくオスカー助演女優賞を獲った、当時11歳のアンナ・パキンさんも子供とは思えない美貌、ホリーさんと本当の母娘の様で、確かな演技に感心しっぱなしでした
エイダがスコットランドから荷物と一緒に持ってきたピアノはエイダの存在そのものの象徴と理解、そのピアノを夫となるサム・ニールさん演じるスチュアートは重いからと言って、いきなり荒々しい波打ち際の浜辺に置き去りにしてしまう
こんな事されればやられた方は誰でも修復不可能なほど傷つくと思います
この時点でエイダとスチュアートの結婚は始まることなく破綻していると思います
浜辺に野ざらしになっているピアノのもとへハーベイ・カイテルさん演じるベインズがエイダ母娘を連れて行き、その浜辺をバックにエイダがピアノを弾き、ベインズが聞き惚れるシーンは鳥肌が立つほど五感を刺激される、本作で一番 美しいシーンです
そしてベインズがそのピアノを自分の家に運び込み、調律してもらい、きれいに拭いて修復、エイダが弾くピアノの旋律に耳を傾け、その姿に見惚れ、エイダもその気持ちを受入れていき、やがて2人が禁断の領域に踏み込んでいく展開がとても切なく、この先 嫌なことが起きなければいいけど、と不安を掻き立てられ、それが目を背けたくなる展開に発展、最悪の気分になりました
でも最終的にはハッピーエンド(と信じます)ではあるので、最悪の最悪な気分からは救われますが、とにかく終始緊張感に縛られどっと疲れるので、軽い気持ちでは観れず、それなりの覚悟が要りますが、映画史に残る必見の名作だと思います
こんにちは。
私もハッピーエンドだったのだと信じています。(夫はかわいそうではありましたが、エイダの運命の人との
浜辺のシーンはすばらしかったですね。どちらの感情も手にとるようにわかる名演でしたね。