「【”秘密のピアノ・レッスン。”劇中に流れるピアノ曲の美しさと、エロティックなシーンの数々が印象的な作品。】」ピアノ・レッスン(1993) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”秘密のピアノ・レッスン。”劇中に流れるピアノ曲の美しさと、エロティックなシーンの数々が印象的な作品。】
ー 「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が面白かったので、ジェーン・カンピオン監督の代表作と言われる今作を鑑賞。-
・”6歳で話すことを辞めた”“暗い才能を持つ”エイダ(ホリー・ハンター:美しきかな・・。)はお転婆娘のフローラ(アンナ・パキン)と共に、1850年代にスコットランドから、父が決めたスチュアート(サム・ニール)に嫁ぐために、彼女の言葉を紡ぐブロードウッド制作のピアノも舟に乗せ、ニュージーランドへ。
・荒れた波の中、海岸に到着するが、足場の悪い中、スチュアートはピアノを海岸に放置してしまう。
ー エイダにとって、自分自身の言葉を紡ぐピアノを新しき夫が放置した時点で、彼女の夫への愛は萌芽しないのである・・。-
・仕方なく、エイダはピアノを弾きに、頻繁に海岸へ足を運ぶ。
地元民と交流する心寂しき男べインズ(ハーヴェイ・カイテル)はピアノの美しき音色とエイダの姿に惹かれ、スチュアートに自分の土地とピアノを交換するよう持ち掛け、苦労して自宅にピアノを運び入れる。
ー ベインズは地元民と同じように顔にタトゥを入れているが、寂しき過去を持っている事も併せて、仄めかされる。-
・べインズはエイダに、自宅でピアノを教えて貰う事を依願する。
ー ”一度のレッスンで、黒鍵一つ返すから・・”
ピアノのために渋々、べインズ宅に通うエイダだが、徐々に彼に惹かれていく。
これは勝手な推測だが、エイダはべインズに自分と同じ”寂しき影”を感じ取ったのではないのではないか・・。-
・べインズはエイダの首筋に触れ、足に触れ、そして・・。
ー 美しき、エロティックなシーンが続く。
最初は抗っていたエイダだが、徐々にベインズに身を任せる・・。雨音の中、絡み合う裸体・・。-
・二人の”秘密のレッスン”に気付いたスチュアートが雨の中、エイダに加えた危害。
ー 残酷なシーンであるが、フローラの学芸会で披露された、影絵の劇中劇とのシンクロ具合が絶妙である。-
<エイダとべインズは、スチュアートの元を離れ、島を出る。
ピアノが途中、海底に落ちて行くシーンが印象的である。
エイダにとっては、ピアノへの執着は失せ、想像の中で愛するべインズとピアノを弾くのだろう・・、と解釈した作品である。>