パリの灯は遠くのレビュー・感想・評価
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ヴェル・ディヴ事件
舞台は1942年のパリ
ロベール・クライン(ドロン)が同姓同名のユダヤ人を探しまわっているうちに
フランスでもユダヤ人狩りが着々と進む様子が描かれている
同姓同名宛の手紙をたどってゆくと
差出人のフロランス(モロー)は宮殿のような城に住む女性で
その一族はパリ・ロスチャイルドがモデルか?
(馬好き、美術品収集家として有名)
(邸宅の壁の絵画には既に一部運び出した痕跡が)
(蛇の紋章… )
はめられたのか、恨みを買ったのか
美術商という仕事がまずかったのか
ロベールは原因を突き止められぬまま
ユダヤ人としてアウシュビッツ行きの列車に乗せられ映画は終わる
クラインという名前はユダヤ系のもので
フランス、オランダに多いらしいが
彼も父親もそれを知らない
というか、フランス人ではないのか?
カトリックだし
(ヴィシー政府はユダヤ人を宗教でなく人種で定義)
そして彼も周囲の友人もユダヤ人の身に何が起きていたのか理解も興味も無くて
〈無自覚〉〈無関心〉〈他人事〉の怖さも描いている
美術(アレクサンドル・トローネ)とカメラもよかった
ロベールの住居がこじんまりしてるが
いい感じで彼が愛着を持っていたのが見てとれる
そして彼が苦境のユダヤ人の大切な絵をたやすく値切ったように
彼とその家も同じ運命をたどる
脚本は「アルジェの戦い」でフランスに一撃を加えたフランコ・ソリナス、他
抑制も効いていて
ドロンが気に入っていたらしいのも
何となくわかる
矢に射ぬかれた鷲とフクロウのタペストリーは死や夜を表していて
ロベールと沢山のユダヤ人達の運命のことか
不条理の中での運命はいかに
テーマもテーマだけど、なかなかの大作で見応えあり。b級ばかりみてる自分からすると久しぶりの重さ。
ミステリー、歴史、人生の浮き沈みなど、色んなテーマが入ってる。娼婦とピエールが怪しいが結局わからず。
あのまま毒ガス室に行くとなると、彼は確かに買い叩くような男ではあったが、それだけでその報いはどうかな?と。身体検査をすればよかったのだが、そうはプライドが許さない。
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