「バベットの晩餐会」バベットの晩餐会 馬耳東風さんの映画レビュー(感想・評価)
バベットの晩餐会
百点満点の藝術作品。これに並ぶ完璧な映画は歴史上数作しかない。嫌われたのはドンジョバンニ(お手をどうぞ:色事師の唄)なのに、オペラ座の天才歌手パパンが報いを受ける。あの深みのある可笑しさは類を見ない。キリスト教を越えた思想表現、料理を超える味わい、ワインを超える香り、それは映画の随所にちりばめられた製作チームの世界観と魔法の様な技術に支えられている。主義も主張も要らない。表層感情にも拘らない。デンマークだからこそ、ディーネセンほどの人物ゆえに捉えた大きな世界がある。価値観の変わる百年後でさえ、映画史のベスト10に残る完全主義の花開いた名作かと思う。
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