「一つの使命に生きる清々しさ」バベットの晩餐会 SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
一つの使命に生きる清々しさ
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画面も衣装も渋い色合いで統一されていて美意識を感じたが、ストーリーが良いと思った。美しい海に面し冬場の強風が厳しく吹きすさぶユトレヒト半島のとある村を舞台に、牧師の父とともに村に来てよく父を助け、父亡き後もずっと村人達への奉仕に生きてきた姉妹と、パリから逃げてきたところを快く受け入れられて以来二人に仕える機転のきく使用人の女性バベットの暮らしぶりが描かれる。
私は、「神さま、バベットを二人のところに遣わせて下さって感謝します」と、スープを届けてもらった村人が呟いたのを、影で聞いたバベットが涙を流す場面にジンとした。バベットは、清貧を絵に描いたような姉妹の生き方に感銘を受け、そんな二人に仕えることができた自分の幸せをしみじみ感じてずっと二人に仕える決意をしたのではないだろうか。
終盤で、年をとって短気になり、お互いにいがみ合うようになってしまった村人達が、バベットの美味しい料理で懐柔されていく(言い方w)様子がとても鮮やかで見事だった。
そして見終わってから漠然と、個人的な幸せよりももっと大きなものに仕える幸せ、というのもあるのかもしれないな、と思った。
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