「ちょっと危なっかしい大人のお伽話」バッファロー'66 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと危なっかしい大人のお伽話
最近、Filmarksの広告で目にする機会が多かったので、観たくなり、四半世紀ぶりに視聴。
自信がないので、イキることでしか自分を保てない、童貞男ビリーの奇跡的な出会いを描いた、ちょっと危なっかしい大人のお伽話。
画面内に別画面をコラージュしたり、90度ごとに画面を切り替えたり、明転の連続で早送りのような効果を出したり、ここぞというところでストップモーションを使ったりと、今観てもクールな表現が光る佳作。
<以下、内容に触れます>
・冒頭の出所のシーン。雪が積もっているのに、半ケツをだすような格好をしていて、「冷えるぞ」と思っていたら、案の定トイレに行きたくなるビリー。
トイレに行きたいのに行けない人って、観客は観ているだけで感情移入してしまうので、映画やドラマの設定として、すごい発明なのではなかろうか。
・ところが、そんな同情をぶち壊す、レイラへの強引な誘拐。出所シーンから始まっているので、どれだけ凶暴な犯罪を犯した男なのかと、観ている方は身構えるが、だんだん「こいつ口だけのイキり野郎だな」ということがわかってくるなど、主人公の見え方がコロコロ変わっていくところがおもしろい。
・誘拐されたレイラも、スキは山ほどあるのに逃げないのは、ビリーのそうした本性が見えちゃったので、ちょっと面白がっていたのかもしれないし、ちゃんと描かれてはいないが、彼女自身もあまり幸せな環境で育って来なかったために、ビリーの気持ちが手に取るようにわかったのかもしれない。(あの、ボコボコで、フロントガラスも汚れまくったトヨタに平気で乗っている時点で、かなりの天然ということなのかもしれないが)
・笑えるほど両親が自己中で酷い。親父なんて、ビリーへの冷たい態度から継父なのかなと思わせておいて実父だったし、母親は、息子のアレルギーを覚えてないって、どんだけネグレクトしてきたのだろうか。冒頭の写真が、あの家のたった一枚のビリーの写真だったとは。
・なのに、スカしながらも母親に認めて欲しいビリー。結局、ムショ行きのキッカケも、母の贔屓チームに大金をベットした結果なんで、彼の不幸のもとは愛情を与えて来なかった親の方にあるのに、金の力を借りてでも、彼の方から愛情を求めようとするビリーのいじらしさが哀しい。
・粗野な言動と対照的に、ベッドのシーツといった小物で、ビリーの細やかな心づかいを表現する演出が好き。
・他者に委ねられないので、触れられることも受け入れられないビリー。それは、愛着不足と男性性への自信のなさが混じりあってのことだと思うが、少しずつレイラに距離を縮めてもらっていく様子が胸にせまる。
・ただ、その感情は男の側からの一方的な感傷で、レイラに都合よく願望を押し付けているだけかもしれない。でも、自分などは、一頃の我が身を思い出して、身悶えするくらいよくわかってしまう。
・片思い相手のウェンディのクソっぷりと、そのフィアンセの見下し目線へのイライラのさせ方の演出がうまい。そして、そういう2人の振る舞いに反抗できずに逃げてしまうビリー。観ていて、忘れていた昔の個人的なトラウマが、思わず蘇ってしまった。
・ボーリングだけは自信があった主人公が、マシントラブルの後ガターを出して、レイラに笑われてしまいムキになるシーンも出てくる。きっと明日以降は、失敗しても笑い飛ばせるようになることだろう。
今作はお伽話だけど、それだけ、人に愛してもらった経験というのは大きな自信になるんだよということがストレートに描かれた、いい作品だと思う。
何よりもレイラがかわいい。
2人ともお幸せに。
sow_miya さん
「コメント可」になりました。
初めてマイページを開き、指南いただいた通りに操作しました。おかげさまでロックが解除出来ました!ありがとうございました!
今月のあたまに当サイトのユーザーインターフェースがアップデートされた時に、僕に関する登録事項がほとんど全て解除・初期化されていたのです。メールアドレスまで空白になっていました。
道理で「共感」や「コメント」の着信も一切届かなかったわけです。
超久々バッファロー!!
ねぇ〜!
あの両親は酷すぎますよね。。
子を持った今だと観方が変わります。
あんな親なのに愛情が欲しいビリーに泣けます。
この映画のような、少数?例外?特殊?な関係性の親子を見せられるのは苦しいです。
子供が向ける純粋な愛に、私はちゃんと応えられているかな?とかちょっと考えた事、思い出しました。
って文章がわかりにくいw
m(__)m
オシャんな雰囲気や音楽、ぶっ飛んだ2人に隠れがちですが、中々深いメッセージです。
変人だけどギャロはカッコイイです♪