劇場公開日 1992年12月12日

「【人間の根源的なる善性と、”赦しと裁き”を見事に描き出した作品。】」二十日鼠と人間(1992) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【人間の根源的なる善性と、”赦しと裁き”を見事に描き出した作品。】

2023年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■1930年、大恐慌時代のカリフォルニア。
 ジョージ(ゲイリー・シニーズ)とレニー(ジョン・マルコヴィッチ)はいつかは農場主になるという夢を抱きながら農場から農場へ渡り歩き、厳しい労働の日々を送っていた。
 だが、幼き時に頭を馬に蹴られた故に、知恵遅れながら、長身怪力のレニーが他愛のない事件を起こしたことから、2人の関係は辛い結末を迎えることになる。

◆感想

■学生時代に、スタイン・ベックの作品はほぼ、読破している。
 彼の巨匠のスタイルは弱者の視点に立ちつつ、世の不条理な状況に異を唱える作風であった。
 今作は、その原作をゲイリー・シニーズが見事に可視化した作品である。
 私は、年代的にゲイリー・シニーズ出演もしくは監督の映画を劇場で観た事はないが、彼の方の顔が好きである。
 ハンサムであるし、確かなる知性が感じられるからである。

■内容は巷間に流布していると思われるので割愛。

・ジョージがレニーを”アイツさえいなければ・・”と言いつつ、常に彼を気遣う姿。そして、二人で夢見る牧場の姿。
 - 明らかに、ジョージという人間の善性を表現している、-

・巧いと思ったのは、タイラー牧場で掃除夫として、働いているキャンディーが愛する老犬を仲間が撃ち殺すシーンと、ラストの哀しきシーンとの連動性であろう。

<知性の劣るレニーを演じたジョン・マルコヴィッチと、彼を庇護者の如く庇うジョージを演じるゲイリー・シニーズの姿が素晴しき作品。
 特に、ジョージがレニーの事を思って行った哀しき”赦しと裁き”のシーンは忘れ難き作品である。>

NOBU