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男の友情の儚さ
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典型的なアメリカのホモソーシャルとしてのカウ・ボーイを描いている。映画の最後でマリリン・モンローとの結婚が決まると、ずっと一緒に牧場で暮らしてきた相棒は別の道を選ぶことを告げる。女が入ってくると成立しなくなるのがホモソーシャルの社会である。女性を嫌うとか、女性を蔑視するとかいう問題ではなく、男のみによって構成されることで安定し、男同士の紐帯を楽しむことが出来るが、そこに女が入ってきたり、男の一人が女との関係を築くやいなやその安定が崩れることを、男たちは良く知っているのだ。
このホモソーシャルの問題はアメリカ映画に色濃く描かれている。西部を舞台にした古い作品だけでなく、SF作品にもそれは現れている。ルーク、オビ・ワン、ハン・ソロ、チューバッカの男だけの宇宙の旅は、レイア姫という女性の登場によって苦難と悲劇を迎えることになる。結局スター・ウォーズはハッピーエンドではないかという声もあろう。しかし、敵の要塞を破壊することに成功するあのラストは、レイア姫が彼らにとって手の届かない高嶺の花となることによる紐帯の復活を条件に迎えられるのだ。
この作品も、二人の結婚生活と今までの男だけによる快活な牧場生活との両立は不可能であることを告げている。女性を獲得した男は、代わりに男同士の固い友情を失うということだ。
都市化がすすみ男女の出会いが日常化した現代社会ではホモソーシャル的な男の世界が成立しにくく、男の友情にとって困難な時代が到来したことをこのフィルムは示唆している。
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