「一心二体」バスケットケース 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
一心二体
ーWhat's in the Basket?ー
シャム双生児として生まれた兄弟。
2人は分離手術を受けるが、異形の兄は人として扱われずに殺されかける。
なんとか生き延びた兄は、思考に繋がりの残る弟と共に、かつて手術を行った医師たちに復讐を開始するのだが…
大好き!とあまり大きな声で言えないけど大好き。
「外見だけでの差別はいけない」という教訓的映画に見せかけて、悪意増し増しの差別映画。
途中までは切ない話だと真剣に観ていたけれど、申し訳ないが最後の悲劇には笑いが止まらなかった。
シャム双生児問題、多分途中からどうでも良くなってる。
分離するのかしないのか。
この苦しみは当事者にしか分からないけれど、正直そこまで復讐する思いがあったのか。
父親へは分かるけれど、自分を化け物扱いしたということであれば、対象がもっと広範囲になるはずでは。
異形の兄ベリアルは形は違えどしっかり人間であり、むしろ人間らしさという意味では確かに化け物。
特に後半は性欲ということがカギとなってくるが、実際のシャム双生児の方々にも、当然のことながらセックス問題はあるらしい。
ベリアルは最初は不気味だったが、徐々に愛着が湧いてくる。
便器に隠れてるところでベリアルは十分可愛いが、挿入しようとして血だらけにしてしまうところがシュールでなんとも愛らしい(ヤバ)。
双生児にソーセージは意図してないはず。
動きをストップモーションで撮ったり、影を使って恐怖を増幅させたり、低予算ながら工夫して頑張っている。
血や肉体の一部はめちゃくちゃ造形だったけど。
分かれたとはいえ繋がっている。
繋がりを求めていたのに繋がりに縛られてしまうという、なんとも虚しい皮肉。
ラストは胸糞悪いような爽快感があるような、悲しいような嬉しいような。
時代を感じる良きB級ホラーコメディだった。