パーフェクト ワールドのレビュー・感想・評価
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クリント・イーストウッド監督らしい
クリント・イーストウッド監督らしい、つまり後味が悪い。流れから言って、ハッピーエンドにはなる事はないとは思っていたが。
雰囲気的にもラストは彼が殺されるのではないかと思ったが、ポケットから何か出そうとして、FBIは銃だと思って撃ってしまった。よくあるパターン。
そもそも1泊泊めてもらった黒人の男性を殺そうとしたことが、それまでの実はいい人っぽいと彼らしくない行動パターンに違和感を覚えた。後で殺すつもりはなかったと少年に言ったが、なんとなく白々しかった。
パーフェクトワールドはどこにあるのでしょう?
パーフェクトワールド
1993年公開
クリント・イーストウッド監督作品
不朽の名作「許されざる者」と「マディソン郡の橋」の間に挟まれた作品です
「ザ・シークレット・サービス」は主演のみで監督作品ではありません
つまり彼が監督として最高潮に乗っていた時期の作品ということです
面白いのは、イーストウッドの本作の次の出演作品が「キャスパー」だということです
フィリップが被っているお面がキャスパーです
カメオ主演程度なんですが、洒落が効いてます
舞台はテキサス州
米国で一番人口の多い州
そこはカウボーイの国
男らしさ、保守的でどちらかというと男尊女卑的な土地柄です
男らしさが何より大事という価値観の土地柄です
独立心、プライドが重要です
そういっても人々はフレンドリーな性格の人が多いそうです
ブッチとフィリップの二人が途中立ち寄るお店の店名は笑顔の店フレンドリーでした
南部なので人種差別も強め
黒人の人口が一番多い州だそうです
Tボーンステーキはテキサスの名物
このようにテキサス州の特徴を丁寧に取り上げていきます
どうして?
テキサス州がアメリカそのものだということいいたいのだと思います
そして男女平等、性の多様性には、保守的な土地であることを強調するためでしょう
時代は1963年
劇中、話にでるケネディ大統領のダラスパレードは同年11月22日のこと
そこでケネディ大統領が暗殺されたのは余りにも有名
面白いのはイーストウッドの一つ前の出演作品は「ザ・シークレット・サービス」だということ
その作品でイーストウッドは大統領を守れなかったシークレットサービスの護衛官を演じていたのです
同年8月28日には首都ワシントンで黒人公民権運動のワシントン大行進がありました
20万人以上が参加した全米を揺るがす一大デモ行進でした
本作は10月末のハロウィンの日から始まります
つまりその二つの大事件の間に挟まれた時期を選んでいます
どうして?
リベラルの大統領の時代
米国が人種差別の撤廃に動き始めた時代と言う意味だと思います
イーストウッドが演じる署長に知事から寄越されるサリーは女性ですから、署長は相手にしてくれませんし、警官のなかにはセクハラしてくる始末
そんな中、彼女は有能さを示すことで署長の信頼を得て、逆境の職場環境に負けずに地歩を固めるのです
フィリップの母はエホバの証人の信徒のようです
ハロウィンもしないし、クリスマスも誕生日も祝いません
なぜそういう設定なのでしょう?
もちろんブッチはフィリップに自分がしたければやればいいと独立心を育てるシーンが引き立つからでしょう
フィリップは女ばかりの家で男性のロールモデルが無かったので、それが一層際立つ設定になるからです
そして、行き過ぎた多様性をそれで表現しようしているようにも思いました
メリークリスマス!なんて近頃の米国では言えないそうです
ハッピーホリデイ!と言い換えしないと、宗教の多様性に無理解だと非難されるそうです
子供でなくても、キリスト教徒でなくても、クリスマスを祝えないなんておかしいです
そんな行き過ぎた多様性はおかしいとイーストウッド監督は言いたいのだと思いました
そして監督はフィリップをなぜズボンを穿かせないで人質にさせるのでしょう?
それは、テリーとブッチにフィリップの男性器について台詞を言わせる為だったと思います
男の子に取っては男性器の大小は自尊心と直結していることです
ブッチに小さいとバカにされ、女ばかり家でオカマになるぞと言われ、フィリップは傷ついています
しかし、ブッチに年のわりに立派なもんだと言われ自信を取り戻します
男は男らしくあれというシーンだったと思います
最近の風潮だとこのシーンは性の固定的な見方で多様性を否定したシーンだと非難されるのかも知れません
しかし、イーストウッド監督は必要だと考えてフィリップにズボンを穿かせなかったのだと思いました
ブッチは署長によって虐待する父親から引き離す為に少年院に入れてられました
彼には男性のロールモデルとなる父親がそんな男であったから子供を虐待する大人を激しく憎みます
とはいえ、父親からもらったアラスカの絵葉書は大切に肌身離さずもっています
ある方のレビューにあの絵葉書は、署長がだしたものかも知れないとあり、あっ!と膝を打ちました
フィリップを人質にしているうちに父親気分になって自分がそうであって欲しかった父親を演じでいます
それがフィリップには初めて見る大人の男性のロールモデルでしたから、優しくされたならなつくのも当然です
でも、この展開は最近の風潮から言うと非難されるべき展開なのでしょう
フィリップはブッチを撃ちました
マックとその妻、フィリップと友達になった小さな孫の3人を殺しそうに彼には見えたからです
ブッチを父親のように慕っていても、彼にはそれが正しい事だと判断して引き金をひいたのです
それがどんなに結果になるのかもわかっていて
父親を越えていく独立心がブッチといる内に育っていたのです
ブッチはその事が良くわかっています
撃たれたことは不覚で、残念でも、フィリップがそうした行動を自らとれたことはとても嬉しかったに違いありません
フィリップが立派な息子になったと誇らしく思ったかも知れません
パーフェクトワールドとは?
子供は虐待されず、大切にされる世界
男は男らしくある世界
性や信教の多様性は認めながら、行き過ぎることはない世界
男女も人種も平等で、差別されることは無い世界
そういう世界を作って行きたいと言う願いのこもった映画だったと思います
公開された1993年は、その年ビル・クリントン大統領が就任した年でした
彼はテキサス州出身の保守的な大統領ジョージ・ブッシュ大統領でしたから米国が大きくリベラルへ向かう年でした
それから世界は息子のブッシュ大統領になり、オバマ大統領になり、左右に何度も揺れ動きました
今は?
トランプ大統領になってご存知の通り
30年後の現在なら本作はトランプ大統領には気に入ってもらっても、多くのリベラルな人々には評価されないテーマであるかも知れません
しかし、自分はこう思うのです
行き過ぎた多様性は行き過ぎた保守性を生むと
振り子のように左に行き過ぎれば、揺り戻しもまた大きく右に揺れるのです
それがトランプ大統領を生んだのだと思います
パーフェクトワールドはその中間にこそあると思うのですが、それでは今の世の中、右からも左からも攻撃されてしまうのかも知れません
そんな理屈なんかさておき、
終盤はもう涙がとまらず、泣きはらしました
さすがイーストウッド監督です、傑作でした
満点のロードムービー
激しいアクションもお涙頂戴も無いけど、何とも言えずザワザワするこの感じは、正に映画。
ストーリーも良く、それほど派手な事件も無いのに引き込まれる。最後は射殺で終わるのもそれしかないように思える。
キャストも良い。ケビン・コスナーは相変わらずカッコよく、クリント・イーストウッドは渋く、子供はグッとくる。襲われた黒人家族も良い。
タイトルも全然パーフェクトじゃない世界に対してシニカルで良い。
そして少年は大人になる
ずっと前から気になっていた作品。
フィリップが一番気の毒やなあ。怖い思いもし、慕っていた人が目の前で殺され…この子は一体どんな大人になるんやろうか。心の傷が心配になってしまった。普段してはいけないと言われていることを色々した結果、自分がやりたいことやってみてもいいんだなっていう勇気は持てたのかな。
ブッチも悪いやつやないんやよね。過激な行動に出たのも自らのトラウマ故やし、自分のことを撃ったフィリップを責めるようなことは一切せず優しく語りかけるところを見る限り、何かが変わっていればこんな犯罪を犯すこともなく普通に生活できてたんやろうなと思う。最後はどうなるか展開はわかったが、やめて!お願いと祈るような気持ちだった。
小学生の時、とても足が速い子がいたがなぜか運動会は毎回不参加。しばらく経ってから信仰上の問題により参加してはいけないと親から言われていたと聞いた。ハロウィンをやってはいけないと母親から言われていたフィリップと重なった。大人になった今、子どもの選択する自由だって大人と同じように保証されないとあかんと思う。
ケビンコスナー出演作も名作が多いし、イーストウッド作品はどれも完全なるハッピーエンドではなくて切ない。やっぱりこういう作品好きやなあ。
ブッチ
フィリップはなぜ撃ったのか⁉️
ブッチが怖くて嫌いで憎かったからか❓
あの場面は、ブッチがおじさんを殺しかねないところ。
一晩泊めてくれて善意溢れる方なのに、
銃口を向けかけていた。 殺すのか⁉️
ダメだ⁉️ あのおじさんは⁉️
気づかない間に銃を取り、
ブッチに教えて貰ったようにして 撃った❗️
ブッチが腹の傷で動けなくて横たわり、
フィリップが寄り添っている。
レッドが丸腰で近寄り
銃のある無しも確認していたのに、
合図するまで撃つな❗️
と念押ししたにも関わらず、
FBIのイヤな奴が、ぶちかました。
コイツは特権をかさに、犯罪者と見れば、
殺してしまえ! という奴だろう。
FBIの指揮官共々。
ブッチが右ポケットから出そうとしていたのは、
フィリップの”やりたいことリスト”だったのに。
脱獄犯で一緒に逃げた奴が
フィリップにワルサしかけたので殺したが、
過去に母にワルサしかけた奴一人も殺した。
その二人だ。
人に危害を加える奴を殺した。
殺しを肯定できないが、
誰かを救いもしていた。
泊めてもらいダンスを踊った女性に
あなたは本当はいい人よ❗️
と言われてもいた。
生まれ育ちが違えば、立派な人物だったかと。
罪人と呼ばれる人も本質はいい人もいる、
権威に乗っかり無闇に殺人をする警察への警鐘も
あるのか。
アラスカ
罪を犯した人たち、なぜかアラスカを求めて旅に出る?
大抵辿りつかないのだけど。
割と簡単に脱獄出来た時代なのか…?
一緒に脱獄したもう1人は根っからの極悪人のよう。
早いところ別れれば良かったのにね。
寝床と朝食を提供してくれた黒人のおじいさん。
確かにDVだけど、あれはやりすぎでしょう。
ちょっと理由がわからない。
あれくらいでないとフィリップがキレないから?
ブッチとフィリップに共通しているのは、親の子供に対するDVへの反応。
目の当たりにした瞬間、2人の表情は曇る。
宗教を理由に綿菓子もハロウィンも無しのフィリップ。
それを叶えであげたいブッチ。
それでも母親を庇うフィリップ。
集まった警官達が帽子にお菓子を投げるシーン、なぜか泣けた。
全体的にちょっと長く感じたけど、さすがクリント様。
若い頃から名監督だったよう。
ちょっとカッコ良すぎるけど。笑
若かりしケビン。
お腹周りのお肉が気になったけど、優しい眼差しはやっぱり素敵であった。
最高だぁ
「心を揺さぶられる面白い映画が観たい、人と人の絆を描いているような〜〜!!」と言いながら今夜観る映画を探していたら、夫がこの映画はどう?とオススメしてくれました。
とても良かった…。
警察チームも逃走チームも好き。
生い立ちがブッチの言動に大きく影響を与えているのだというのがよくわかって、悪い人ではないというのも思いきり伝わってきて、は〜良かった…。
良くも悪くもフィリップに与える影響や絆の描かれ方が良かった…。
良かったしか言えない…。
少年院送りにして正解だったのか…
記録と手紙でしかブッチの父親の描写がないからわからないけど、「親を悪く言いたくない気持ちはわかる」とブッチが言っていたから、やっぱりろくでもない父親だったのかな。
親元に帰していたら、あの心根の優しいブッチにはなっていなかったんじゃないかなぁと思いました。
ブッチ、死んでしまったと思っていたのだけど、最後腕枕をして目を開けたから、助かるのかしら。
実際あったら蛇足になってしまうから無くて良かったなと思うけど、二人のその後の関わりも見てみたくなるような作品でした。
あと、あの銀色のキャンピングカーみたいな車に乗りたい。
騒がしくなく、でも重たい雰囲気でもなく、観ていてとても心地よい時間を過ごす事ができました!!
レオンの男バージョン
ストーリーは全然違うけどレオンと同じく、犯罪者と子供の話。
ケビン・コスナーがかっこよかった。
ラストは分かってたことだけど悲しい、、。
イーストウッドが良い味出してる。
フィリップがあざとくて可愛すぎる。
題名の「パーフェクトワールド」は理想のこと。
警察たちが犯罪のない世界=パーフェクトワールドっていう話をしていた。主人公にとってのパーフェクトワールドは全親が子供を心から愛している世界のことだと思う。
フィリップと一緒に逃亡する間に会ってきた家族はどこか欠けていた。
子供を叩く母親(父は良い人)、主人公たちに寝床を快く貸したが孫を叩く祖父など。
ネタバレ
最後フィリップに主人公が撃たれたのはびっくり。その後の「俺だって本当は撃つつもりなかった。俺が殺したのは母親を殴った男と、お前(フィリップ)を襲った男だけだ」っていうセリフは悲しかった。
良い映画!また見たい。
切ない
子供が折檻されると自身の虐待を思い出し過剰に反応する。それは余りに異常ではあったが、本質的にはやさしい男。ただ、その極端さは理解されないだろう。過剰反応で罪を犯してしまったし、何度見ても切ない結末だった。
脱獄者と誘拐された子、警察署長と心理学者、二組が織りなす展開だが、脱獄者と所長との接点も明かされ一挙に重みを増す。単なる追跡劇を超えたドラマになった。
ケビン・コスナー、絶頂期があったのに最近見かけない。
とてもよかった
昔レンタルビデオで見たのかな、2回目。里親映画にも見えなくもないのだけど、ケビン・コスナーは養育するつもりはなく、バディものだ。子どもに対するDVに神経を尖らせていたのだけど、殴るのと同列くらいに激しく怒鳴りつけていたのは気になるところだ。子どもと脱獄囚のたたずまいがとても気持ちがいい。しかし、車を盗られる方はたまったものではない。
タイトルなし(ネタバレ)
最後10分ぐらい泣きっぱなし
ブッチが最高だし、映画に出てくるうるせえガキが大嫌いなんだけどこの子はそんなことなく良かった
ラストも結局死んでしまうけど、
バッドエンドって訳じゃなく不思議な感覚になる
いい映画だ
イケメン脱獄犯とキャスパー少年の奇妙な友情関係。
クリント・イーストウッド監督「パーフェクト・ワールド」字幕版観ました。
宗教的に厳しい母子家庭で育ったフィリップと、彼に対して父親のように接するブッチとの間に、友情が芽生えていくというストーリー。
だいぶ前の映画ですが、なかなか良かったです。
面白いというより、切なかったです。ラストは、予想通りの結末だったのですが、やっぱり悲しいし、切なかったですね~。。
ブッチは刑務所から脱獄して、色々と罪を犯した凶悪犯なのですが、実は、良い一面もある。
フィリップもはじめはブッチに対して恐怖心を抱いてたのですが、上記に記した通り、ブッチがまるで父親のように接してくれるので、徐々に打ち解けていきます。キャスパーの格好が可愛かったw
強盗したり、万引きしたり、ハロウィンでもないのに知らない人の家にお菓子を求めたり、赤の他人のキャンピングカーをかっぱらったり、黒人の家族の家で踊ったり、色々とありましたw
感動まではいきませんでしたけど、最後は悲しいし、切なかった。(泣)
予想通りの結末ですが、傑作です!(^^)
最初のボタンの掛け違いで犯罪の道から抜けられない悲しい男
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 80
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 65
ケビン・コスナーの役柄は犯罪者である。もう幼いころから犯罪を続けてきた、犯罪が体に染み付いてしまっている犯罪者である。彼の逃避行中にも度々それが出てしまい、普通に窃盗もすれば突然の暴力も出る。
その反面、彼は根っからの犯罪者ではないことも示す。家族の暖かさに憧れ、友情を大切にする。彼は生まれた環境が悪く、また恐らくはイーストウッドが彼を刑務所に送り込んだことが彼をより犯罪者の道から抜け出せなくしてしまった。
彼は運が悪かったために犯罪者の道ばかり歩いてきたが、本当はそうじゃない自分に憧れている。だが最早犯罪が普通に体に染み付いた彼にはかなわぬ夢だったのだろう。彼にまともな社会生活が出来るものではない。たとえ彼の命が助かっても、アラスカにあると信じたパーフェクト・ワールドにたどり着けたとしても、脱獄の後も罪を重ね人を殺しておいて一人だけ幸せを得ることは出来ない。たとえどこに行ったとしても、彼自身が社会人としてパーフェクトとは程遠いのだから。その意味ではどちらにしろ救いようのない結末である。
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