パーフェクト ワールドのレビュー・感想・評価
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実は良い映画だと思う一本
本作、当時は人気絶頂のケビン・コスナーがいきなり汚れ役に挑んだことで似合わないみたいな批判を浴びていたらしい。でも自分は結構好きだった。『ボディーガード』以前のストレートなヒーローのイメージから遠い役柄だったせいだけど、中学生の時に初めて見て感動して以来、お気に入りの映画だ。というか、中学校ではこの映画はすごく人気があった。
今、改めて見てもそんなに失敗作とは思えない。ケビン・コスナーの犯罪者役は哀愁を帯びていていいし、イーストウッドの演出も抑制を利かせていて、丹念に役者のいいところを見せてくれる。
誘拐した少年との疑似親子関係は泣かせる。宗教的理由でハロウィンに参加できない男の子が初めて犯罪者というはみ出し者と一緒になることで家族から解放されて自由になるが、運命はそのような関係を許さず悲劇の最後を迎えていく。ジャック・N・グリーンの撮影もきれいだし、普通にすごくいい映画だと思うので、何かのきっかけで再評価されないだろうか。
満点のロードムービー
激しいアクションもお涙頂戴も無いけど、何とも言えずザワザワするこの感じは、正に映画。
ストーリーも良く、それほど派手な事件も無いのに引き込まれる。最後は射殺で終わるのもそれしかないように思える。
キャストも良い。ケビン・コスナーは相変わらずカッコよく、クリント・イーストウッドは渋く、子供はグッとくる。襲われた黒人家族も良い。
そして少年は大人になる
ずっと前から気になっていた作品。
フィリップが一番気の毒やなあ。怖い思いもし、慕っていた人が目の前で殺され…この子は一体どんな大人になるんやろうか。心の傷が心配になってしまった。普段してはいけないと言われていることを色々した結果、自分がやりたいことやってみてもいいんだなっていう勇気は持てたのかな。
ブッチも悪いやつやないんやよね。過激な行動に出たのも自らのトラウマ故やし、自分のことを撃ったフィリップを責めるようなことは一切せず優しく語りかけるところを見る限り、何かが変わっていればこんな犯罪を犯すこともなく普通に生活できてたんやろうなと思う。最後はどうなるか展開はわかったが、やめて!お願いと祈るような気持ちだった。
小学生の時、とても足が速い子がいたがなぜか運動会は毎回不参加。しばらく経ってから信仰上の問題により参加してはいけないと親から言われていたと聞いた。ハロウィンをやってはいけないと母親から言われていたフィリップと重なった。大人になった今、子どもの選択する自由だって大人と同じように保証されないとあかんと思う。
ケビンコスナー出演作も名作が多いし、イーストウッド作品はどれも完全なるハッピーエンドではなくて切ない。やっぱりこういう作品好きやなあ。
何回目かの観賞ですが
ケビン・コスナー巡り第二弾
1963年テキサス州、脱獄犯と人質少年の逃亡ロードムービー。クリント・イーストウッド監督作品。
脱獄犯ブッチ、売春宿で育ち、父親は失踪し、8歳で人を殺し、少年院で犯罪を覚えた。とてもIQが高い。
8歳の人質少年フィリップ、上に姉が3人、父親は失踪し、母親は敬虔なユダヤ教徒。とても従順な少年。
本作はこの二人が逃亡しながらお互いを補い合っていく物語。ブッチはフィリップに父親が好きだった8歳の頃を重ね、フィリップはブッチに父親の姿を重ねる。いびつだが完全な二人の世界はとても心温まる。が、それも終わりの時を告げる。
逃亡犯ブッチと保安官レッド、ケビン・コスナーとクリント・イーストウッド、津嘉山正種さんと山田康雄さん、これこそがパーフェクト・ワールド。
※吹替版がなかなか見当たらない…。
ブッチ
フィリップはなぜ撃ったのか⁉️
ブッチが怖くて嫌いで憎かったからか❓
あの場面は、ブッチがおじさんを殺しかねないところ。
一晩泊めてくれて善意溢れる方なのに、
銃口を向けかけていた。 殺すのか⁉️
ダメだ⁉️ あのおじさんは⁉️
気づかない間に銃を取り、
ブッチに教えて貰ったようにして 撃った❗️
ブッチが腹の傷で動けなくて横たわり、
フィリップが寄り添っている。
レッドが丸腰で近寄り
銃のある無しも確認していたのに、
合図するまで撃つな❗️
と念押ししたにも関わらず、
FBIのイヤな奴が、ぶちかました。
コイツは特権をかさに、犯罪者と見れば、
殺してしまえ! という奴だろう。
FBIの指揮官共々。
ブッチが右ポケットから出そうとしていたのは、
フィリップの”やりたいことリスト”だったのに。
脱獄犯で一緒に逃げた奴が
フィリップにワルサしかけたので殺したが、
過去に母にワルサしかけた奴一人も殺した。
その二人だ。
人に危害を加える奴を殺した。
殺しを肯定できないが、
誰かを救いもしていた。
泊めてもらいダンスを踊った女性に
あなたは本当はいい人よ❗️
と言われてもいた。
生まれ育ちが違えば、立派な人物だったかと。
罪人と呼ばれる人も本質はいい人もいる、
権威に乗っかり無闇に殺人をする警察への警鐘も
あるのか。
いい話だったしいい映画だと思ったけど、ジェネレーションギャップを激...
ブッチも納得の行く人生だったと感じたはずだ
宗教上の制約から、子供らしいことがほとんどできない少年フィリップ。子供の頃からアウトローの世界に身を置き続けてきた誘拐犯のブッチ。彼らは子供らしい時間を過ごすことができなかったという点で共通していた。
だが、ブッチは自分が子供の頃にされたかったことをフィリップに与えることで、過去の空白を埋めることができた。フィリップもそれを受け止めることで、少年らしさを取り戻すことができた。荒んだアウトローの世界に身を置き続けてきたブッチも、彼なりのやり方でフィリップに与える行為を通じて、こんな人生でも生きててよかったと、納得の行く最後を迎えられたんじゃないだろうか。最後の彼の表情には、もう思い残すことも無いと言っているような清々しさがあった。
今作はクリント・イーストウッド監督作品の中でも『グラン・トリノ』に並ぶ良作と言っていいと思う。
アラスカ
罪を犯した人たち、なぜかアラスカを求めて旅に出る?
大抵辿りつかないのだけど。
割と簡単に脱獄出来た時代なのか…?
一緒に脱獄したもう1人は根っからの極悪人のよう。
早いところ別れれば良かったのにね。
寝床と朝食を提供してくれた黒人のおじいさん。
確かにDVだけど、あれはやりすぎでしょう。
ちょっと理由がわからない。
あれくらいでないとフィリップがキレないから?
ブッチとフィリップに共通しているのは、親の子供に対するDVへの反応。
目の当たりにした瞬間、2人の表情は曇る。
宗教を理由に綿菓子もハロウィンも無しのフィリップ。
それを叶えであげたいブッチ。
それでも母親を庇うフィリップ。
集まった警官達が帽子にお菓子を投げるシーン、なぜか泣けた。
全体的にちょっと長く感じたけど、さすがクリント様。
若い頃から名監督だったよう。
ちょっとカッコ良すぎるけど。笑
若かりしケビン。
お腹周りのお肉が気になったけど、優しい眼差しはやっぱり素敵であった。
最高なんだが!!
「心を揺さぶられる面白い映画が観たい、人と人の絆を描いているような〜〜!!」と言いながら今夜観る映画を探していたら、夫がこの映画はどう?とオススメしてくれました。
とても良かった…。
警察チームも逃走チームも好き。
生い立ちがブッチの言動に大きく影響を与えているのだというのがよくわかって、悪い人ではないというのも思いきり伝わってきて、は〜良かった…。
良くも悪くもフィリップに与える影響や絆の描かれ方が良かった…。
良かったしか言えない…。
少年院送りにして正解だったのか…
記録と手紙でしかブッチの父親の描写がないからわからないけど、「親を悪く言いたくない気持ちはわかる」とブッチが言っていたから、やっぱりろくでもない父親だったのかな。
親元に帰していたら、あの心根の優しいブッチにはなっていなかったんじゃないかなぁと思いました。
ブッチ、死んでしまったと思っていたのだけど、最後腕枕をして目を開けたから、助かるのかしら。
実際あったら蛇足になってしまうから無くて良かったなと思うけど、二人のその後の関わりも見てみたくなるような作品でした。
あと、あの銀色のキャンピングカーみたいな車に乗りたい。
騒がしくなく、でも重たい雰囲気でもなく、観ていてとても心地よい時間を過ごす事ができました!!
監督が男の子に演出をつける様子も見てみたい
ケビン・コスナーは好きじゃありませんでした。
彼の主演作もほとんど見てないけど、食わず嫌いだったようです。
この映画では、本当に素晴らしい演技をしていますが、彼以上に素晴らしいのが、子役の男の子。最後までずっと出ずっぱりで、コスナーとの掛け合いは、息もぴったりで、恐怖におびえる顔、望みが叶った満ち足りた顔、義務感と愛情の板挟みになった顔、など、本当に様々な表情を見せてくれます。
彼がその後役者の道を選ばなかったようなのは、残念な限りですが、とにかく、イーストウッドの演出は、神業級です。欲しい表情を逃さずにカメラに収める指示の出し方と、子供に噛んで含むように演出をする様子が思い浮かびます。
この映画の空気感は、その後のイーストウッド監督作品にも引き継がれていきます。虚無感と、深い洞察力、そして説得力あふれる映像。
本人がアクションスターをやんわりとフェードアウトしていったことで、本当に撮りたい映画に向き合うことが出来るようになっていったのでしょう。
ローラ・ダーンのプロファイリングがややくどいなと思いましたが、それで、観客はコスナーのキャラクターを理解できる構成なので、ほとんどのセリフはストーリー上必要な説明ばかり。ちょっと残念な役回りでした。
この映画は1993年公開ですが、まったく古臭さがありません。
もともとケネディ暗殺直前のテキサスが舞台なので、当時からレトロ調に作ってあったのでしょうが、無駄に派手な音を入れたり、特殊効果を使ったりしていないことが良かったのでしょう。今見ても、当時の趣がそのまま生きています。
ついでに、ちょっと調べたら、「ショーシャンクの空に」が94年。「セブン」が95年。この二本の映画は、どうやら「パーフェクト・ワールド」の影響を色濃く受けているようです。
さらにさらに、「キャスパー」が実写映画化されたのが95年で、この時にはなんとクリント・イーストウッド本人がカメオ出演しています。映画の中に散りばめられた遊び心に、うれしくなってしまいました。
それにしても、この映画でケビン・コスナーはいったい何本ラッキーストライクを吸ったのか…「作者の意図を尊重して、そのまま放映します」という冒頭の注意書きが子供への暴力についてなのか、コスナーの喫煙シーンなのか、たぶん両方だと思いますが、今日のテレビコードでは放映不可能なようです。
2017.9.29
パーフェクトワールド
パーフェクトワールドとは程遠い生いたちや現実の生活。
それでも、つい昨日までは他人だった人同士、黒人と白人の、男と女が、子供同士が、手を取り合って踊っている、あの短い時間は、まぎれもなくパーフェクトワールドだった。
暴力さえなければ。。
子供の頃、親に連れられ映画館で観て大好きになった映画です。5~10年ぐらいの期間で見返してます。子供のいる年になって観るとまた別の味わいがあります。
重さもありますが、警察サイドがコメディ入ってたり、ブッチと少年フィリップのやりとりが微笑ましかったりと、バランスが絶妙で観やすいと思います。
父親像や正義や信念について考えが及ぶ映画です。
そしてキャラクターがとても魅力的。
子供大好きなブッチがかわいく、トラウマのあるブッチをかわいそうにも思いつつ、侠気のあるブッチがかっこいい。
ケビン・コスナー今観てもかっこいいです。
印象的なセリフがたくさんある中で、少し考え込んでしまうセリフを一つ紹介しますと、
「やはり、記録はいい加減だ」
これは、
「なぜ4年の実刑を?保護観察にできたはずよ、家があり父親もいた」
(父親は窃盗で挙げられたけど出所後は足を洗ったと記録にある)
と問われた時の警察署長のセリフ。
警察署長は、根っからのワルの親父から引き離すためにあえて少年院送りを勧めたと語ります。
けれどもブッチは父親を慕っていた、父親からの手紙を大事にしていて、短いが優しい手紙だと語るシーンがあります。
ブッチの父親は、警察署長の語る「根っからのワル」だったのか、ブッチが自身を語ったように「良い奴ではない、けれど根っからのワルでもない、人と変わっているだけ」なのか。
ブッチにとってどちらが本当に良かったのだろうか。
コテコテなのに
レオンの男バージョン
ストーリーは全然違うけどレオンと同じく、犯罪者と子供の話。
ケビン・コスナーがかっこよかった。
ラストは分かってたことだけど悲しい、、。
イーストウッドが良い味出してる。
フィリップがあざとくて可愛すぎる。
題名の「パーフェクトワールド」は理想のこと。
警察たちが犯罪のない世界=パーフェクトワールドっていう話をしていた。主人公にとってのパーフェクトワールドは全親が子供を心から愛している世界のことだと思う。
フィリップと一緒に逃亡する間に会ってきた家族はどこか欠けていた。
子供を叩く母親(父は良い人)、主人公たちに寝床を快く貸したが孫を叩く祖父など。
ネタバレ
最後フィリップに主人公が撃たれたのはびっくり。その後の「俺だって本当は撃つつもりなかった。俺が殺したのは母親を殴った男と、お前(フィリップ)を襲った男だけだ」っていうセリフは悲しかった。
良い映画!また見たい。
体力は消耗しないが、色々考えさせられる
転の部分が薄く、
ラスト以外は穏やな流れで
60年代のアメリカを感じながら観ていましたが、
(個人的には)感動はあまりないものの心に残る作品ってこういうものだな、、と思いました。
犯罪者と少年少女の話と言えば、レオンが王道ですが、
どちらかが好きならもう一方も好き説は立証できる自信があります(笑)
冒険。
なんか楽しそう。
タイムマシーンに乗っているのに「今を楽しめ」? その言葉の通り、やってみたかったことを叶えようとする。
逃亡犯と人質のロードムービー。
子どもだから思いつかなかったのか、怖くて萎縮していたのか、置いていかれることが怖かったのか? 助けを求めて逃げだせばいいのに、逃げ出さない。それどころかブッチを追いかけてくるフィリップ。
その複雑な表情がたまらない。怖がったり、怪訝そうな顔をしたり、はしゃいでみたり…そして…。
二人は、過去を後ろに、未来を前に、タイムマシーンに乗りながら、とりあえずいつか着いてしまう終着までは、”今”を楽しんでいくはずだった。
だのに、過去にとらわれてしまったブッチ。その呪縛・怨念を撃ち砕こうとしたのかフィリップ。
ああ。
イーストウッド監督作品、私にとって4作目。
『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』『ハドソン川の奇跡』と、緊迫感・現場感あふれる映像・演出の感動作。社会へのメッセージ性も強いが、教条的にならず、話の展開が起承転結があり見事で、ウィットも効かせ、最後まで安定して鑑賞できる職人芸。誰にでもお勧めできる。
その反面、人物等結構典型的で、今一つ掘り下げ方が足りず、定番のディナーを味わっているようで、感動し、満足するものの、珠玉の一品にはあと一さじの香辛料が足りない。
この映画も、鑑賞後はそんな感じだった。
父親にやってもらいたかったことを、次々とフィリップにやってあげようとするブッチ。母の悪口を言わないフィリップに、「かばう気持ちはわかるよ」というブッチ。フィリップのこの年齢で、戒律は厳しくとも、基本ちゃんと面倒見ている母だから、「母は正しい」とフィリップが思うのも当然なのに、ブッチは自分の母親を重ねていたんだろうな。
正直、警察のパートはいらないと思ってしまった。その分、二人の交流をもっと描きこんでほしかった。でも、犯罪心理学者にブッチの生涯を語らせることで、社会の中で悪が育つとか、ダメ父の存在を浮かび上がらせたかったのだろうか。署長とブッチの因縁を語ることで、署長を社会的父親としての存在として描き出したかったんだろうか。
偶然二人連れになってしまった、心は子どもの大人と、本当の子どものロードムービー。子どもへの暴力に耐えられないさまは、マックの家以前にも示唆されていたけれど、でもあの展開は、特にフィリップがああするとは唐突な気がする。他にも方法あったろうに。
この映画が発表された年代にはこの手の映画はまだ数少なかったんだろうが、今となっては他に似たような映画もあるし、感動はするが、今一つであった。
とはいえ、舞台は1960年代。力が幅をきかせていた時代。
今施行されているUSAの児童虐待に関する細かい法律。反対に言えば、法律で細かく規制しなければならないほど、子どもは大切にされていないってことだ。
力・権力頼みだった署長が、ブッチとの関係を振り返ることで、問答無用に射殺するのではなく、”説得”を試みるようになる変化も感慨深い。
こんな”父”的存在に対比するように、家族を守るために、ある意味情けない父が出てくる。楽しいピクニックに狼を呼び込んでしまったあの家族…。
いろいろな父親像が出てくる。
まるでパーフェクトな父親像を探っているかのようだ。
そしてその一つ、子どもの気持ちを大切にする、ブッチとフィリップの関係は全USAが夢見る父親像・養育環境なのかもしれない。なんてことを考えたら、じわじわ来てしまった。
ケビン・コスナー氏が良い。自分なりの信念は持っているんだけれど、ふわふわと足が地についていない大人子どもを演じきっている。
そんなブッチの傍らにいるフィリップも良い。時に、子どもらしさ全開で、時に、ブッチを見守る天使のようで。
ああいう形で幕は閉じたものの、心のどこかで、最強のバディが車の形をしたタイムマシーンで、どこまでも、どこまでも、行けるような気がした。-パーフェクト・ワールドー。
いつまでも余韻が残る。
映画の筋は書き直したいところもあるが、いつまでも大切にしたい至極の一本。
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