イノセント(1975)のレビュー・感想・評価
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無神論者の主人公の「救いようのなさ」
主人公の トゥリオ(ジャンニーニ)に対する監督の容赦ない視線
神が原罪を見つめる視線は このようなものか、あるいは また、別のものだろうか…
妻の側で愛人を想い、妻の心が離れると嫉妬で狂わんばかりになる… 支配欲は男のDNAに組み込まれたものなのか
「猫の子殺し」を思い起こさせる様な行為も 本能なのだろうか
こんなことを 長い間「男らしさ」で済ませてきた 男の愚かさと無神経さをも含めて 監督は原罪というものを、問い直している
また、妻の心身のゆらぎや 思うがままに生きる愛人の心も 無垢なものが失われる悲劇に繋がっている
しかし、信仰を持つ国の無神論者への冷たい視線も感じられる原作ではある
(監督もあまり好きではなかったらしい… )
長い間 イタリア艶笑映画に貢献してきた アントネッリを 貞淑な妻役に、「想い出の夏」くらいしか印象にない オニールを愛人役に配している
アントネッリは本来、清純派と思われる容姿だし、
オニールは米女優だが ヨーロッパ勢に囲まれても 何ら遜色なく、あのクラシカルな美貌は むしろ自国向きではなかったのだと、 ヴィスコンティに教えられた
全体に悲劇的なムードだか、夫が 妻の恋人の身体を確認してしまうあたり、おかしい
マルク・ポレルの裸体の美しいこと!
最後に 己の罪を理解し、 逃げるように霧の中へ消えてゆくオニールの姿が 美しく、監督の人生の終焉を暗示しているようでもあり、哀しい
遺作となった作品で 妙にひんやりした 出来となったが、監督が最後まで 完成させたものを 見てみたかったな… という思いはある
ヴィスコンティにしか撮れない
美しい美術、衣装、小道具、俳優、そして官能
もちろん構図や、色彩、映像も・・・・
しかしつまらない、激しく睡魔に襲われた
ところが終盤に入って
急に焦点が合いだしたかのように
映像に集中されられてくる魔術よ
イノセントは単に赤ちゃんのことではなく
出てくる人々全て自分はイノセントだと思っていると揶揄してのダブルミーニイングなのだろう
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