「よく出来たロマンス!」ノッティングヒルの恋人 独りよがりさんの映画レビュー(感想・評価)
よく出来たロマンス!
あまりいけてない古本屋の主人公が何故か世界的大女優と恋に陥るお話し。シチュエーションだけで物語がいくつも作れそうだけど、そこを2時間の枠に上手に納めて2人の恋の行方を結構ハラハラしながら見守る羽目になった。
単なる身分違いの恋愛話しかと思っていたら、キャラクターの掘り下げがしっかりしているから、2人の心情の変遷がよくわかる。戸惑いから始まって、有頂天になり、でも振り回されて、やっぱりダメだと思う主人公の思いは、中年オヤジにもぐさっと刺さったし、その一方で、大女優のはずの女子の切なさと可愛さ、またそう言う世界であるが故の破廉恥さも持ち合わせた女優側の複雑な思いは、これまた、世界中のモテまくる女子に受けたことだろう。みんな、自分の思いをいずれかの出演者に投影しているに違いない。主人公の友人たちの造形もよくできていて、最終シーンにつながる友人一同揃えた今後のアクション検討ミーティングは主人公を見守る優しさに満ちていて、見てる側の気持ちをほっこりさせてくれた。ほんとみんな優しすぎ。アドバイスの後に展開される友人たちの、アドバイスとは全く逆のはしゃぎようって言ったら、これまた半端なく、車椅子の奥さんを一緒に連れて行く小ネタを放り込むあたりは、マジに脚本家に拍手を送りたい。そしてまた、小ネタといえば、あっちゃこっちゃに散りばめられた映画へのオマージュネタ。クスッとさせるシーンも多く、挿入歌の使い方はちょっとベタすぎるけど、おじさん世代にはしっくり来てしまい、本当に飽きない。主役2人だけでなく、随所に幸せそうな人たちを描いているところもgood。最後のあちこちのキスシーンも良かったね。
なんか、ひさびさに善人ばかりで、最後はすかっとハッピーエンドの映画を見た。いい映画だった。薦めてくれた友人に感謝。