劇場公開日 1985年12月14日

「悪夢は続くよどこまでも」ノスフェラトゥ 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0悪夢は続くよどこまでも

2013年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、CS/BS/ケーブル

興奮

BSつけたらやっていて、思わず最後まで観てしまった。

暑い夏の夜、怖い映画でも観て涼んでくださいな…っていうBS側の粋な計らいなのか?(そんな訳ない)
こんな悪夢みたいな映画を観たら、ますます寝苦しくなる。

俺のやってるのはゲイジュツだから、そこんとこヨロシク的なヘルツォーク。
そんじょそこらのドラキュラ物とは訳が違うんだぜぇと鼻息も荒く、悪夢は続くよどこまでも…っていうまるで救いもない話。
恐怖映画という範疇に収まりきらない狂気が目に痛い。

主演のクラウス・キンスキー、ベラ・ルゴシとはまた違った意味でドラキュラがはまり役。
つうかドラキュラなんて架空の存在よりキンスキーの存在自体がアブないコワい。笑っちゃうほど変すぎる。
女の首に噛りつくその様は
「おまわりさーん、ここに犯罪者がいますよっ」と叫びたくなっちゃうほど怪しい。
ロバート・ウォーカー(「見知らぬ乗客」)と並び、狂気俳優の二大巨頭か。

ドラキュラと対峙する女、イザベル・アジャーニが最高っ!!!に美しい。
「悪」に勝てるのは、強さでも科学でもなく「美」だけと云わんばかりのドヤ顔が素晴らしい。
世界中の「美」をしょって立つといっても過言ではない。
キンスキーとアジャーニの最後のシーンはなんつうか美しすぎて震えるよ。子どもが観たら絶対鼻血出すと思う。

その他、
延々と映し出される山々とか、棺を乗せた船とか、鼠の大群とか、突然踊り出す街の人たちなど、ヘルツォーク的な見所も満載で。

こんな怪作を威風堂々と壮大にやってのけてしまうヘルツォーク、やっぱり凄いと云わざるを得ない。

小二郎