「何百回でも見たい」ノスタルジア(1983) らんさんの映画レビュー(感想・評価)
何百回でも見たい
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アンドレイ・タルコフスキーを一言で表すなら、「優しさ」だと思っている。
それは、彼の言葉からは勿論、作品からも伝わる。
どれほど滑稽に思われようと、ひたすら自己を犠牲にして世界を救おうとする。
そういう人を彼は見ていて、映画の中で表現している。
瀕死の主人公ゴルチャコフが懸命に蝋燭を運ぶクライマックスは、その意味に思いを致さなければ、ただの奇行や無駄な努力としか写らない。
しかし、彼はそのために文字通り命を賭けている。
そして、その自己犠牲は我々の生きる世に実際に存在している、と伝えている。
犬や水のシーンは前作の「ストーカー」を踏襲するが、監督の年齢の分だけより洗練されている。
主人公の独白シーンも素晴らしい。
ラストシーンでは、ロシアの「ノスタルジア」を感じられる。
自分の中で最高と言える映画であり、何百回でもこの世界に浸りたい。
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