「とうとう、観た!そして、粉砕。」ノスタルジア(1983) CBさんの映画レビュー(感想・評価)
とうとう、観た!そして、粉砕。
19歳で東京に出た1979年、この監督の作品「ストーカー」が公開された。1972の「惑星ソラリス」1975の「鏡」を中心に度々名画座で上映され、当時の情報誌「シティロード」では「タルコフスキー作品を見なければ、もぐりだ」というオーラを感じる記事が掲載。(ぴあ が既に主流だったが自分はなんだかシティロード派だったんだよなあ)
そんな時代に青年を過ごした自分としては、タルコフスキー監督作品のうち、SFである「ストーカー」「惑星ソラリス」は観ているが、残る「鏡」「サクリファイス」「ノスタルジア」を観ていないことが、長く心に引っかかっていた。(「アンドレイルブリョフ」もあるか…)
それを今回、早稲田松竹さんのおかげで、とうとう、それも心に引っかかっているうちの二本立て「サクリファイス」「ノスタルジア」という豪華組み合わせで、観ることができた。
観念的な映画だろうから、今回は予習してから行ったよ。再び観る機会はなかなかないだろうし、DVDを買おうにもタルコフスキー作品は高いし。
しかし、そんな俺の努力は、秋の強風に舞い散る落ち葉のように、簡単にかつ見事に吹き飛ばされたよ。2分に一度は寝た。「あ、やばい」と、すぐ目を覚ますのだけれど、たしかに何度も落ちた。あらすじを全部読んでから行ったので、落ちまくっても、話はかろうじてわかるのだが、その話もまた何を言いたいのかよくわからない話。
もちろん、「この映画の各シーンは、それぞれ何を象徴するのか」という数多くの問いかけに対して、監督が「それらは象徴ではなく比喩であり、スクリーンの中で起こっていることは現象である」と答えていることも予習済だし、「ストーカー」「惑星ソラリス」で慣れているつもりだったが、どうしてどうして。タルコフスキー監督作品は、そんな予習程度で理解や共感に至るものではございませんでした。
話題のラストシーンを「綺麗だな」と確認するのが精一杯で、劇場を後にしたのでした。完。
2020/9/10 追記
このレビューじゃ、タルコフスキー監督を誤解されかねないので、早稲田松竹さんの、短いが的確な紹介を載せておきます。
> 聖なる狂人に導かれて世界を救おうとする男
う〜ん、素晴らしい。「早稲田松竹 タルコフスキー」で検索すればヒットしてくる紹介記事を、是非参照ください。
共感とコメントをありがとうございました。
どのシーンも、強烈に”何か”を訴えてくるんですよね。なのに、何を言おうとしているのか、わからない。シーンがつながるとなおさらわからない(笑)。
ユング心理学に惹かれる私は”挑戦”したくなる映画です(笑)。
CBさんが「好き」とおっしゃるのもわかります。
とはいえ、CBさんのレビューで知った「それらは象徴ではなく比喩であり、スクリーンの中で起こっていることは現象である」という監督の言葉も、わかったようなふりはできるけれど、わからない(笑)。困りました。
まだ、この監督の映画はこの映画しか見ておりませんが、いつか別の映画も観たいと思います。