「中盤までキレイなお姉さんとオバサンのあいだの微妙なところを突いてきます 後半はガルボの美しさが炸裂します」ニノチカ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
中盤までキレイなお姉さんとオバサンのあいだの微妙なところを突いてきます 後半はガルボの美しさが炸裂します
絶世の美女グレタ・ガルボももう34歳
容貌が衰えるのは致し方の無いところ
そこを本作は上手く逆手に取っています
それが勝利のポイントだったと思います
彼女の役所はソ連の貿易委員会からポンコツ三人組の仕事を補強してこいとパリに派遣されて来たやり手の役人の役です
21世紀の現代なら日本であっても、交渉に埒があかないので本社からやり手が乗り込んでくる役が女性管理職でも何の違和感もありません
1939年当時はどうだったでしょう?
共産主義国のソ連ぐらいだったでしょうし、劇中でポンコツ三人組が、女が来るとはと口走っているようにソ連でも珍しかったわけです
強面の女性管理職、しかもソ連
ちょいと年増であって良い訳です
無表情で四角四面の真面目一方な役所なので、老けてみえます
それでも超美人土台が違います
キレイなお姉さんとオバサンのあいだの微妙なところを突いてきます
内角低め一杯というところ
固いスーツ姿なれど、細くいい女
ツンツンしてるけど、一度飲みに誘ってみたい
そんな感じです
このガルボが真面目一方なようで実は女らしいところがあって、花のパリへ出張してきたからにはエッフェル塔に観光に行ったり、隙だらけというか自ら隙を作って男誘ってますやん!
レオンの口説き文句はもの凄くて勉強になります
こういう台詞のひとつも言えないとなりません
修行がまだまだ足りませぬ
中盤で大笑いしたときの、弾けるような美しさ!
ここで爆発させる計算だったわけです
あの変な帽子がスーツ姿に似合ってるのがまた上手い
あとはもう美しい、いい女ガルボがどんどん輝いて炸裂するという訳です
お話も面白く終わり方も小粋です
脚本にビリー・ワイルダーが入って入るのが、ポンコツ三人組の上手な扱い方で納得です
ガルボはこのあと2年後の1941年に引退してしまいます
永遠の美女でいたかった
私達ファンのイメージを壊したく無かった
そういうことだったのでは無いでしょうか?
なんとなく原節子の引退はガルボを意識したものだと思えます