ニノチカのレビュー・感想・評価
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最高のラブコメ!
これはもはやコントである(笑)
ベラ・ルゴシが見たくて本作を鑑賞したわけですが、ルゴシはちょい役でした。残念。まぁ、あの眉毛見れたからいいや。
グレタ・ガルボとメリヴィン・ダクラスについては全く知りませんでしたが、素晴らしい演技でした。特にグレタ・ガルボ、最高です。二人のチグハグな会話が滑稽でおかしくておかしくて…笑いが止まりませんでした。「堅物女とロマンティック野郎の恋」なんて今でこそベタですが、この時代に既に完成されたジャンルだったのですね。驚き。
あとポンコツ三人組も大好き!この三人が物語を盛り上げつつ、トラブルの原因になったりして目が離せません。資本主義がどうとか時代背景を知らないとチンプンカンプンですが、この三人を見てたらどうでも良くなります。いや、どうでも良くないんだろうな(笑)
多分、風刺を含んだコメディだったんだろうと思うので、やはり時代背景等知っていた方がより楽しめるかも知れません。それでも軽妙な会話を聞いているだけでおかしくて最高に笑えます。特に酔っ払ったニノチカ、アホ過ぎてめちゃくちゃ可愛いです(笑)
テンポ良く全くダレることなく、ラストも綺麗に締めてくれます。現代においても全く色褪せない傑作ラブコメディです!
難点があるかもしれないが、知的なロマンティックコメディの名作だ。
パリを舞台に、ソ連の女性外交官ニノチカ(グレタ・ガルボ)と、独身貴族のレオン・ダルグー伯爵(メルヴィン・ダグラス)が恋に落ちる姿を描く、ロマンティックコメディ。
ソ連や共産主義をネタにした風刺が、数多く見られる。主人公が、愛を通じて人間性を取り戻すという筋立てともいえる。鑑賞前に、当時の時代背景や基礎知識を知っておいたほうが、良いかもしれない。
主人公のステレオタイプなイメージや、なぜ主人公が相手にそこまで魅了されたのかなど、不自然さや描写不足を感じる人もいるだろう。私は、面白い作品だと思って最後まで見た。だが、特にソ連を知らない世代だと、違うかもしれない。
グレタ・ガルボとメルヴィン・ダグラスは、とても魅力的だ。ソ連の3人組もユニークで心憎い存在だし、知的なロマンティックコメディの名作だと思う。
ニノチカの変わり様がよく分からない
ソ連の役人がシベリア送りを恐れたり、ソ連のラジオ放送に音楽が無いシーンがあったりと、全体的に社会主義国(ソ連)を貶して資本主義国を持ち上げる内容。今作が製作されたのが1939年という、世界恐慌の影響が尾を引く時代。それは、社会主義国ゆえに自国の経済が世界恐慌の影響をさほど受けなかった点で魅力的だったソ連へ、資本主義のイデオロギーを持ち上げて対抗したい意味も込められていたからでは、と想像した。
ストーリーはコメディタッチで中々面白い。冒頭のソ連の役人が適当な理由を付けて高級ホテルの良い部屋に泊まりたがるシーンは、出張にかこつけて遊ぼうとしているサラリーマンのようで笑えた。
違和感が拭えないのは中盤からのニノチカの変わり様。最初はソ連のイメージそのものと言っていいようなニコリともしない彼女が、レオンとの出会いで大笑いしてからキャラが大きく変わる。ここの変わり様も、社会主義国に染まった冷徹な女が、資本主義国で変わっていく様を描きたかったのかなと解釈した。しかし、あまりの変貌の意味がよく分からず、一体どういうことなのかと混乱した。
戦前、戦後直後の映画って、どう解釈していいのか分からない、難しい映画が多い。
共産主義を辛辣な台詞で笑い飛ばすルビッチ監督と女神ガルボの挑戦
エルンスト・ルビッチ監督のコメディ映画で、初めて笑う演技を披露したグレタ・ガルボが話題になり評判を呼んだ作品。1922年17歳で母国スウェーデン映画に出演し、ドイツのG・W・パプスト監督作「喜びなき街」を経てハリウッドデビューをしてから、1930年の「アンナ・クリスティ」の初トーキー映画では、キャッチコピーが“Garbo talks !”だったという。それから9年後のこのルビッチ作品まで“笑わない女優”を通して、キャッチコピーが“Garbo laughs !”に変わる。個人としては僅かにサイレントの代表作「肉体と悪魔」とトーキーの代表作「椿姫」しか観ていなが、ガルボの完璧な美貌と神秘的な雰囲気は別格だった。当時の日本では、その気品と美しさの極みに対して“神聖ガルボ帝国”という時代掛かった称号が付けられたという。グレタ・ガルボが如何にハリウッド女優の中で特別な地位を得ていたかを、淀川さんの本から切り抜いて紹介したい。
エリッヒ・フォン・ストロハイム(彼女は笑ったり泣いたりする必要がない。ただ、見つめるだけで、それで充分だ)
ウィリアム・ダニエルズ(ガルボは殆ど稽古をしないのに、流れるような柔らかな演技をみせる)
ミケランジェロ・アントニオーニ(女性美という不滅の価値を発見したいという気持ちをおさえ得ぬ人こそ、ガルボを見るがよい)
映画の達人たちの手放し状態の賛辞である。ただそこに居るだけでいいのに、顔を崩すくらいの笑顔を見たいとは思わなかった。この固定概念に挑んだコメディの巨匠ルビッチ監督が狙ったのは、このガルボが笑うシーンを見せ所として最高のシーンにすることだった。
先ず驚くべきは、ルビッチ監督に気に入られていた脚本家ビリー・ワイルダーと其の盟友チャールズ・ブラケット始め計5人共作の脚本の皮肉たっぷりな面白さだった。ソビエト連邦の共産主義を揶揄う辛辣な台詞を次から次へと繰り出し、比較する資本主義の経済と自由なイデオロギーの優位をストーリーの中で終始描いている。この比較はそのまま主演のガルボの恋愛心理に反映されている。共産主義を信奉する元軍曹の堅物役人の役柄から、ユーモアを知りお酒に酔い自由恋愛に浸る柔軟な女性に変化するヤクショーバ・ニノチカ。部下の商務局役人三人組が駅に出向かいに行き、登場する場面が粋である。特命大使を男性と思わせ声を掛けようとすると、その男性はハイル・ヒットラーと他の待ち人に挨拶をする。そして、ホームの奥に佇むニノチカが現れる。ホテルで偶然見かけた斬新なデザインの帽子も、後半の彼女の自由への憧れを象徴する。初めて見た時には、あんな帽子を女にかぶせる文明は滅びると、資本主義へのいじりが含まれていたのに。ニノチカがレオンとエッフェル塔の展望台でパリの景色を眺めるシークエンスでは、エレベーターのレオンよりらせん階段を登るニノチカがより早く着くのがあり得ない可笑しさ。この場面で完全な喜劇のスタイルを宣言したようなものだろう。洒落た台詞と機知に富んだ皮肉。庶民的なレストランでニノチカの心をほぐす為にジョークを語るレオンの努力も虚しく、周りが笑うコーヒーのクリームの品切れ話に反応しないニノチカに怒るレオン。不満たらたらなレオンがこけて急展開。本当の可笑しさは、予期せぬ失態にあり。それまでのイメージを払拭させるくらいのガルボの笑い方だった。ルビッチ監督の狙い通りの笑顔が映画史に遺ることになりました。
但しロマンチックコメディとしての良さは、全開ではない。後半の特にソビエトに戻ってからのニノチカには、遠く離れて思いを寄せる女ごころがもっと出ていいのではないかと思った。アイナ・クレアが演じたスワナ伯爵婦人が偶然居合わせたレストランでみせる女の嫉妬と対抗心がいい。ルビッチ監督らしい心理描写。愛人レオンがうつつを抜かす女性を軽蔑していた伯爵婦人が、ニノチカの美しさに触れて動揺する様子から、貴族の振る舞いで対峙する女の意地が伝わってくる。
グレタ・ガルボの経歴を調べて驚いたのは、殆ど浮いた話はないと思っていたら何と「オーケストラの少女」でお馴染みの名指揮者レオポルド・ストコフスキーとは短い期間だったが親密であったことが記されていた。フィラデルフィア管弦楽団の耽美的に極めた音楽で名声を得た完璧主義の音楽家だったストコフスキーが夢中になる、完全なる美。それと若い頃には「西部戦線異状なし」でポールを演じたリュー・エアーズと共演した時には、年下のエアーズをとても可愛がったとある。役柄からではなく、ひとりの女性としてガルボをみた時、男性に媚びたり男性に頼る女性には見えない。そこがもう一人のスター、マレーネ・ディートリヒと違うところ。毅然と佇む女神のような女優の演技を私生活にも引き摺ったのでないかと想像します。一つ残念なのは、1969年頃に「魔の山」と共に映画化を模索していたルキノ・ヴィスコンティ監督が、「失われた時を求めて」にガルボの出演を願ったこと。映画界からは完全に引退していたので叶わぬ夢物語と分かっていても、もしもと思ってしまう魅力に未練が残ります。
『ポーランド兵が死ぬ前にもキスしたわ』グレタ・ガルボの台詞。
『ポーランド兵が死ぬ前にもキスしたわ』グレタ・ガルボの台詞。
反共映画かもしれないが、まだ、スターリンもヒトラーも台頭したばかりのトキ。
『所有権を争えば、フランスとソ連との間に2年は争うことになり、その間、人民が飢える。』と言うセリフがあるが、正にその通りになる。戦争が始まる。それを予見している。
お抱えの執事を売って、ヤギミルクを手に入れるなんて、実に洒落ていると思う。つまり、経済五カ年計画のことが語られるが、資本主義側からは、まだ、その点を見定めている時期だったと思う。つまり、社会主義の良い部分ととらえていたと感じる。だから、ロイヤルスイートで食事する事を嫌い、普通のレストランで食事を楽しもうとして、初めて、グレタ・ガルボは笑う。
戦後にこの映画を作れば、ビリー・ワイルダーは赤狩りにあったと思う。
『ゴートミルク フォーヘルス』って標記されている。傑作だ。
同志諸君!これがマルクス・レーニン主義的に正しいツンデレの姿だ!
パリの地で、笑うことも許されない寒い国からやって来たキャリアウーマンをナンパ貴族のレオンが攻略するけれど、ツンドラの凍土のごとくガチガチにハートが凍ったニノチカには全く通用しません。
それでも資本主義社会の面子を背負ったレオンは諦めることなく口説き続けてニノチカの心を開くことに成功します。しかしデレたニノチカは酔うと演説を始めるようなお騒がせ美女なのでした。でも、ソビエト連邦って何?とかいう世代には、もうこのノリは理解できないのかも。
夢の日々が終わり、寒い国に帰ったニノチカを待っていた生活、これが浮かれていた視聴者を突き落とします。エリートのはずのニノチカですら、住まいは男女間のプライバシーもないような粗末な家で、パリで処分できなかったランジェリーがこの地では宝物扱い。面白おかしいロシア女だったニノチカに本当の共感と同情が集まる瞬間ではないでしょうか。
鉄のカーテンに閉ざされて自由のない異国の地に、大好きになってしまった人が囚われているという悲しみを感じ取ってもらえるでしょうか?
お笑い共産主義
ルビッチ君はワイルダー君や小津君の師匠筋らしいですが、どこにどう特徴があるのかわかりません。この作品もソ連をコケにしたコメディですが、どこといって面白くもつまらなくもなかったので、ちょっと感想述べるのに苦慮します。ガルボ君もそれほど魅力的とは感じない。とにかくウルトラノーマルな作品でした。
ガルボ笑う
第二次世界大戦前の作品なので、その後に引き起こされる事態を考えざるを得ない。ソ連(笑)的な嘲笑やライブのスターリン弄りはシュールに映ってしまう。コミュニストに批判的かというと、どうみても資本主義に毒されて堕ちたニノチカとしか見えない部分もあり、これも戦後の赤狩りが吹き荒れたハリウッドからすれば牧歌的。
役人が公職そっちのけで羽目を外してロマンスというのは支持しようがないのが難点。
ツンデレの原型?
BSプレミアムの放送にて。知らないタイトルだったけど、グレタ・ガルボを見たことなかったので。いやはや、まさにクールビューティ。地味なスーツでも、スタイルいいのが逆に引き立つ。
これはラブコメでいいのだろうか。単純に見れば、社会主義国のバリキャリハイミスが、フランスの洒落男に落ちるってだけ。会話のズレ方や、ガルボのスタイリングが笑いのポイントなのだろうか。話が進むにつれ、いろいろな対比も浮かんできて、実は深い意味があるように思えてきた。
まあ、考え始めればあれもこれも、と深読みはできそうだけど、にこりともしなかった鉄仮面が大口開けて笑うところは、キュンとした。このギャップにはやられるでしょう。一度は人民のために恋を諦めたニノチカ。ラストは自分の幸福のために一歩踏み出す。良い終わり方じゃないですか。
グレタガルボを初めて鑑賞。 バーグマンやケリーほどいいと思えなかっ...
グレタガルボを初めて鑑賞。
バーグマンやケリーほどいいと思えなかったが、年齢のせいか。
映画的にはクスリと笑わせる良い作品。タバコ売り嬢が増えていくところとニノチカにも売りに行くところが笑える。
グレタ・ガルボが絶妙
ニノチカを演じたグレタ・ガルボが絶妙。ソ連で活躍した女性はこうだったに違いないという感じ。
話し方などの雰囲気に加えて年齢も、責任ある仕事を任されたあの時代の女性に相応しくみえる。
ソ連に帰ってからは、あくまでもソ連国民としての信条を維持しつつ、パリへの憧れを胸にしまい、ソ連での生活に順応しようとする。
ブリヤノフ、アイラノフ、コパルスキーの3人がかわいい。
イスタンブールでロシア料理のお店を出すという結末も良かったと思う。ニノチカの亡命やレオンのロシア行きより映画として良かったと思う。
中盤までキレイなお姉さんとオバサンのあいだの微妙なところを突いてきます 後半はガルボの美しさが炸裂します
絶世の美女グレタ・ガルボももう34歳
容貌が衰えるのは致し方の無いところ
そこを本作は上手く逆手に取っています
それが勝利のポイントだったと思います
彼女の役所はソ連の貿易委員会からポンコツ三人組の仕事を補強してこいとパリに派遣されて来たやり手の役人の役です
21世紀の現代なら日本であっても、交渉に埒があかないので本社からやり手が乗り込んでくる役が女性管理職でも何の違和感もありません
1939年当時はどうだったでしょう?
共産主義国のソ連ぐらいだったでしょうし、劇中でポンコツ三人組が、女が来るとはと口走っているようにソ連でも珍しかったわけです
強面の女性管理職、しかもソ連
ちょいと年増であって良い訳です
無表情で四角四面の真面目一方な役所なので、老けてみえます
それでも超美人土台が違います
キレイなお姉さんとオバサンのあいだの微妙なところを突いてきます
内角低め一杯というところ
固いスーツ姿なれど、細くいい女
ツンツンしてるけど、一度飲みに誘ってみたい
そんな感じです
このガルボが真面目一方なようで実は女らしいところがあって、花のパリへ出張してきたからにはエッフェル塔に観光に行ったり、隙だらけというか自ら隙を作って男誘ってますやん!
レオンの口説き文句はもの凄くて勉強になります
こういう台詞のひとつも言えないとなりません
修行がまだまだ足りませぬ
中盤で大笑いしたときの、弾けるような美しさ!
ここで爆発させる計算だったわけです
あの変な帽子がスーツ姿に似合ってるのがまた上手い
あとはもう美しい、いい女ガルボがどんどん輝いて炸裂するという訳です
お話も面白く終わり方も小粋です
脚本にビリー・ワイルダーが入って入るのが、ポンコツ三人組の上手な扱い方で納得です
ガルボはこのあと2年後の1941年に引退してしまいます
永遠の美女でいたかった
私達ファンのイメージを壊したく無かった
そういうことだったのでは無いでしょうか?
なんとなく原節子の引退はガルボを意識したものだと思えます
共産主義女史の大人の恋・・・ロマンチックな作品
大人の男女のラブストーリー。
パリとスターリン政権下のロシアとの文化の違いを
ユーモラスに描写。
生真面目なニノチカが、戸惑いながらも惹かれる様を、グレタ・ガルボがキュートに演じていた。
モノクロ映像が美しい。
BS - NHKを録画にて鑑賞
現代のロシア人も楽しめる時代であれば
NHKのBS放送を録画して鑑賞したが、
この映画の存在を知らず期待が無かった分
だけ、拾い物のように楽しめた。
冷戦時代のソ連は秘密のベールに
包まれていたこともあり、
一部の知識人には憧れの国に見えた時期も
あったようだが、戦前は
社会主義国家のアラが見え見えだったのか、
あるいは西側の政治的なプロパガンダが
影響しているのか、
随分とソ連をコケにしたディフォルメの
効いた作品だった。
ここまで皮肉が過激だと逆にロシアの皆さんに遠慮することなく安心して楽しんで
いいのかなと観た。
今となっては、ロシアの方々も
イデオロギーを別にして笑って楽しめる
映画になっていればいいのだがと思いつつ、
プーチンの時代になってそうでもない状況に
なっていなければと心配ごころも浮かんだ。
共産ソ連を痛烈に風刺したコメディ作品
スターリン政権下の共産ソ連を痛烈に可笑しく風刺した作品。
男顔負けの女性共産主義者ニノチカを演じたグレタ・ガルボが、美しく自由なパリで、女性らしく変身していく姿は滑稽で魅力的。
この作品を見てから”椿姫”を鑑賞すると、グレタ・ガルボの演技力に魅了されることになる。
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