「ルノワールのアメリカ映画の秀作」南部の人 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
ルノワールのアメリカ映画の秀作
貧しい者の苦難の生活を題材にしている点で、ヴィスコンティの「揺れる大地」を想起させる。といってリアリズムより、当時のハリウッド映画のアメリカヒューマニズムの色彩が強く、深刻な生活苦の暗鬱さより、アメリカヒューマニズムとルノワール演出の豊かさを味わうことが出来る。特に主演のザカリー・スコットとベティ・フィールドの演技が魅力的で、この時代のアメリカ映画では見ることのない、男女の色気と艶が滲み出るところは流石ルノワールと感嘆してしまう。
20世紀初頭の未開の大地の開墾は想像を絶する。困窮を極めた食糧事情のなか子供が栄養失調になるエピソードがあるが、ごく一般的な事柄であったのだろう。それら弱い者へ対するルノワールの視線は常に優しく温かい。
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