「善と悪とは〜Leonard Cohenの『The Future』」ナチュラル・ボーン・キラーズ Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
善と悪とは〜Leonard Cohenの『The Future』
1994(日本は1995)年公開のアメリカ映画。
【監督】:オリバー・ストーン
【脚本】:デヴィッド・ヴェロズ、リチャード・ルトウスキー、オリバー・ストーン
【原案】:クエンティン・タランティーノ
主な配役
【ミッキー・ノックス】:ウディ・ハレルソン
【マロリー・ノックス】:ジュリエット・ルイス
【ウェイン・ゲール】:ロバート・ダウニー・Jr
【ドワイト・マクラスキー】:トミー・リー・ジョーンズ
1986年の『プラトーン』に始まり、『7月4日に生まれて』、『ドアーズ』、『JFK』などヒットを連発したオリバー・ストーンが、タランティーノの原案を映画化した問題作。
タランティーノは脚本にクレジットされてないが、
『パルプ・フィクション』に似たテイストが本作にも反映されているのが興味深い。
1.コミック(劇画)調の映像とストーリー展開
ウディ・ハレルソンとジュリエット・ルイス、
彼ら以外に考えられないくらいのキャスティング含め、
演出、色調、展開など全てがアメコミ調であることに気付く。
タランティーノのテイストを感じるのも、これだ。
二人の出会いからラストまで、
『俺たちに明日はない』のボニー&クライドほどヒロイックではないが(笑)、
理屈抜きに面白い。
2.鋭い風刺
『ダイハード』のテレビレポーターと同様、
本作にも、道化役のマスコミが現れる。
報道、と称すれば全て許されると勘違いしたマスコミそのものや、
その露悪趣味を見事に料理してみせた。
本作を、ピカレスクもの、とカテゴライズしてよいものか迷う。
なにが「善」で、
なにが「悪」なのか?
刑務所の塀で隔てられているのは何なのか?
問いかけられたような気がした。
3.エンディング曲
Leonard Cohenの『The Future』 が選曲されている。
ミニバン?に乗り、楽しく愉快に移動する一家、
そのバックに流れる、これまた風刺の効いた一曲。
家族みんなで楽しめる作品ではない。
エロもグロもある。
最初に観た時は、かなりの衝撃だった。
本当にオリバー・ストーンか?と疑った。
でも、もう一度観たいと思った。
何度観てもそう思うということは、☆5.0なのだろう。