謎の完全殺人のレビュー・感想・評価
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派手さは無いが、ラストも含めて気持ち悪さは堪能できます
サスペンスものっぽいが、ホラー系といえばホラー系か?(当時の宣材では”オカルト”)
刑事たちが連続的に起こる殺人の謎解きをする訳ですが、観ている側としては「コロンボ」状態で、犯人もその動機も、”謎”もほぼ初めから知ってる状態で展開します。
劇中の音楽も必要最小限に抑えられ、全編通して割と静かに進む印象。
日本では、ジム・ハットン主演になっていましたが、本来は警部役のポール・バークが主演なのを、知名度的にあまりに知られていなさすぎたのでこのような扱いになったのでしょう。
主人公の主治医という立場の、相手女優のジュリー・アダムスはこの当時の当作の監督レイ・ダントン夫人です。
レイ・ダントン自身も俳優ですが、活躍は主にTV畑にしてのキャリア。
ジム・ハットン氏は親しみの持てる好印象な優しい顔つきの青年俳優という感じですが、本作では犯罪の疑いの嫌疑をかけられて(冤罪)精神病院に収監されてしまい、その間に病気で危険な状態であった母親を死なせる結果になってしまったことから、それに関わった一連の連中に復讐を切望する青年アーノルド、という暗い役(犯人)を演じています。
女医役のジュリー・アダムスと警部役のポール・バークがあっさりベッド・インしてしまう展開に、何となく安っぽさを感じ得ませんでしたが一応、そこに絡んで青年アーノルドの女医への想いが明らかにされるという展開上のこと故のようですが。
あと、ネヴィル・ブランド氏も出ています。
我が国での劇場公開は、首都圏では「新宿プラザ劇場」という都内でも有数の大スクリーン劇場で1975年12月公開の年末映画でした。
我が国での公開時の原題は『The Kirlian Force』になっていますが、後で『Psychic Killer』に改題されてますね。
しかし、そんなに”超大作”でもなかったのに、なぜか?
1974年7月公開の『エクソシスト』から1年超えてますが、その後の余韻をかっての狙いだったことが考えられますが、タイトルが「完全殺人」じゃあなんだかオカルトっぽいインパクトに欠けてスリラーか犯罪モノのように受けとられますね?
因みに同館では約一年後の1976年10月から『オーメン』が公開され、当時鑑賞していますが、こちらは大スクリーン劇場に相応しく大ヒットとなりました。
ある意味、『謎の完全殺人』も”悪魔”モノでは無いが、犠牲者が次々と趣向を変えた色々な手法で殺されていく、という点においてはこの『オーメン』に先んじているとも言えるかも。
逆に、更に2年後の1978年の大作映画だった『恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ』(The Medusa Touch)は、映画誌などで紹介がなされていて公開を期待したにもかかわらず、何故か未公開の憂き目に。(『オーメン』主演のリー・レミック繋がりもあったのに。)
オカルト+超能力+デザスター、パニック・スペクタクルと人気要素をてんこ盛りにしたような構成で、演技派系の俳優を取り揃えた豪華作品だったのに、「なんで?」となりました。
海外での評判が芳しくなかったようで、8年以上と制作から随分と後になってTV放映されてました。
素晴らしい作品でもなかったものの、劇場スクリーンに映えるようなそれなりに見所はあったので、当時はもっとショボい映画もやったりしていたくらいだったから観たかった。
『謎の完全殺人』よりは遥かに大スケールの国際規模作品だったんですけどねぇ.....
(恐らく、権利料が相当な額だったのでは無いかと推察される。)
因みにジムは、’80年頃から活躍したティモシー・ハットンのお父ちゃんなんですが、そうした息子の活躍を見る前の1979年6月に、45歳の若さで肝臓癌で亡くなっています。
その前の1975年のパイロット版とそれに続く1975年〜1976年のテレビシリーズ『エラリー・クイーン』で主演の探偵エラリー・クイーンを演じましたが、日本での放送は無かったと思います。
参考までに、このシリーズは『コロンボ』制作コンビであるリチャード・レビンソンとウィリアム・リンクによるもので、同じNBCから放送されて時期も被っていますが、『エラリー・クイーン』は23話のみで終了しています。
1975年のパイロット版では、シリーズ版のエルマー・バーンスタイン氏のとは違い、テーマ曲に「NBCミステリームービー」枠だったようで『コロンボ』と同じマンシーニ氏のあれが使われてました。
ジム・ハットンは結構好きだったのに、活躍の機会にあまり恵まれないうちに早死にされてしまい残念で、あまりにも早かった死が悲しかった。
それゆえ、ティモシー・ハットンが出てきた時には感無量に。
母親の仇のようにみなした相手に”特殊能力”で復讐を遂げていくという、悲しい背景の犯人がその能力がアダとなって滅ぼされる、という展開のオチはちょっと(人道的に?)強引ですが、結果的に最後の犠牲者が出る寸前に阻止できたという結果で、良しとするしか無いのでしょう。
その前に”メダリオン”(公開時にそう呼称していた)を取り上げることができてたらもっと良かったのでは?、と思いましたが.....
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