「みんないい人」眺めのいい部屋 ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
みんないい人
冒頭、プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」から「私の優しいお父さん」が流れるが、まさにこの映画にぴったりの曲という感じだ。それもそのはず、「ジャンニ・スキッキ」の舞台はこのシーンと同じフィレンツェだった。
フィレンツェやイギリスの田舎が実に美しく描かれており、まるで印象派の絵画のようであるし、クイーンズイングリッシュの響きも綺麗だ。デビュー間もないヘレンボナムカーターも新鮮でいい演技をしている。
物語は、簡単に言えば三角関係であるが、深刻さはなくどことなくユーモラスでさえあるともいえる。多分ハッピーエンドになると想像できるので、安心して見ていられる。なので、あとは映像の綺麗さ、音楽、登場人物の台詞をじっくり味わえる。
最初と最後が同じホテルの食事のシーンというのも心憎い演出だ。しかも、ある親子の会話が、窓からの眺めが良くないということで、最初の主人公の会話と同じだったのが笑える。ただ、今度は部屋はチェンジしてやらなかった。新婚旅行だったし、彼女の思い出の部屋だったので当然かな。
登場人物がみんないい人だったので、そんなの嘘っぽいという人にはお勧めできないが、見終わったあと、幸せな気分になれる映画です。
一つ気になった点、
みんなでフィレンツェから郊外へ馬車で行くエピソード、牧師が御者(馬車の運転手)の隣に乗っている金髪美人の恋人を途中で下ろさせるシーン、一緒に乗せているくらいならいいが、イチャイチャしてきたので下ろさせたのかもしれないが、ちょっとかわいそうな気がした。もと来た道を歩いて戻りながら、去っていく馬車を悲しそうに一回振り返る。なくても特にストーリーには何ら影響のないシーンだったが、何か意味があったのか?このシーンの冒頭に「御者はイタリア人」という字幕がでる。多分、このような公私混同の行為はイギリス人にとっては考えられないことという意味だったのかな。