長い灰色の線

劇場公開日:

解説

「フォルウォスの黒楯」のロバート・アーサーが製作し、「コレヒドール戦記」のジョン・フォードが監督するシネマスコープで、ウェスト・ポイント陸軍士官学校を舞台としたマーティ・マーの自伝を映画化したものである。脚色はエドワード・ホープ。テクニカラー撮影は「彼等は馬で西へ行く」のチャールズ・ロートン・ジュニア、音楽は「殺人者はバッジをつけていた」のモリス・W・ストロフ。「壮烈カイバー銃隊」のタイロン・パワーと「マラガ」のモーリン・オハラが主演し、以下「彼等は馬で西へ行く」のロバート・フランシス、「愛の決断」のドナルド・クリスプ、「ホンドー」のワード・ボンド、テレビ女優ベッツィ・パーマー、「彼等は馬で西へ行く」のフィル・ケイリーらが出演する。

1954年製作/138分/アメリカ
原題または英題:The Long Gray Line
配給:コロムビア映画会社
劇場公開日:1955年1月4日

あらすじ

ウェスト・ポイントの体育助教として50年間勤めて来たマーティ ・マー軍曹(タイロン・パワー)は、辞職命令に不服で、その撤回を旧友の大統領のところへ頼みに行き、昔の思い出話をする。――1903年、アイルランドからやって来たマーティ青年は、ウェスト・ポイントの給仕に雇われたが、失敗ばかりしていた。やがて、兵に志願してウェスト・ポイント勤務隊に配属され、体育主任ハーマン・ケーラー大尉に見出されて体育助教となった。そしてケーラー家の女中のアイルランド娘メアリー・オドンネル(モーリン・オハラ)と結婚した。マーティはいずれアイルランドへ帰るつもりだったが、次第にウェスト・ポイントに愛着を感じて行った。妻メアリーはマーティには内密に、彼の父と弟をアイルランドから呼び寄せた。弟がニューヨークで成功し一緒に仕事をしようと誘われたときも、やがて生れる子供をウェスト・ポイントに入学させたいと思って断った。男子が生れた。しかし、候補生たちが祝福してくれたのも束の間、その子は不幸にも死んだ。自棄になったマーティは酒に溺れたが、候補生たちの温かい忠告に自己をとり戻すことが出来た。レッド・サンドストロムという候補生が成績不良に悩んでいたのを、やさしく慰めて、学校の先生をしているキティ・カーター(ベッツィ・パーマー)を相談相手に与えてやった。この間にもウェスト・ポイントからはマックアーサー、スティルウェル、ブラッドリー、ストライトマイア、ウェンライト、ヴァンフリート、アイゼンハウアなどが卒業して行った。第一次大戦が始まった。レッドは優秀な成績で卒業し、キティと結婚したのち出征した。大戦は勝利に終わったが、レッドは戦死し、キティは幼児を抱えて未亡人となった。レッド・ジュニア(ロバート・フランシス)はマーティ夫妻の庇護の下に成長し、1938年ウェスト・ポイントに入学した。だが、卒業間際女性とのことで間違いを起こし、自省ののち自ら退学して折からの第二次大戦に一兵卒として参加した。メアリーは安らかに生涯を終えた。残されたマーティは淋しかったが、彼の周りにはいつも若い候補生たちがいた。それが彼の生甲斐だった。――マーティの話は終わった。大統領はドットスン中将(フィル・ケイリー)に善処を依頼した。中将とマーティがウェスト・ポイントへ帰ると、マーティを待っていたのは彼へはなむけのウェスト・ポイント全員の大分列式だった。思い出深い行進曲を胸にかみしめながら、マーティ老軍曹は感動の涙を拭うのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0愛と反戦を描き出すジョン・フォードの傑作

2025年2月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

悲しい

単純

1955年公開、アメリカ映画。

【監督】:ジョン・フォード
【脚本】:エドワード・ホープ
【原作】:マーティ・マー、ナルディ・リーダー・カンピオン〜『Bringing Up the Brass』

主な配役
【マーティ・マー】:タイロン・パワー
【マーティの妻メアリー・オドンネル】:モーリン・オハラ
【キティ】:ベッツィ・パーマー
【マーティの上官ハーマン・キーラー】:ワード・ボンド

1.さすが、ジョン・フォード!

『怒りの葡萄』、『わが谷は緑なりき』、『静かなる男』で3度アカデミー監督賞を受賞している。
また、『駅馬車』はじめジョン・ウェインを主演に起用した西部劇でも知られている。

アメリカを代表する監督だが、アイルランド系移民の二世である。
本作の主人公で、原作者でもあるマーティ・マーもアイルランドからの移民だ。

士官学校を舞台にしたストーリーで、アクションは皆無で淡々とした人間ドラマだ。
アイルランド人としてのプライドや、望郷の念が端々に感じられるが、コメディ要素や主演のタイロン・パワーによって、嫌味なく落とし込まれている。

さすがだ。

2.さすが、タイロン・パワー!

ウェストポイント陸軍士官学校の食堂に雇われたアイルランド移民のマーティ・マーを演じたのはタイロン・パワー。

私の亡き母が、好きだった俳優だ。
本作公開から3年後、撮影中に44歳の若さで亡くなった。

本作の前半は、コメディを得意とするタイロン・パワーらしさが全開だ。
チャップリンやキートンばりのシーンが連発され笑える。

食堂をクビになったマーティは、懲りずに再雇用され、ケンカ騒動の現場に居合わせた闘技主任に見込まれ、助手になる。
そして、なんと30年近く(トータルでは50年!)ウェストポイント陸軍士官学校に勤める。

ジョン・フォード作品の常連であるモーリン・オハラ演じるメアリーとの出会いから別れ、長男誕生、教え子たちとのふれあい、、、

タイロン・パワー41歳、モーリン・オハラ35歳、
まさに脂の乗った俳優たちの名演だ。
ラストシーンでは不覚にも涙腺が緩む。

さすがだ。

3.アメフトの歴史的試合

ひとつ興味深かったのは、アメフトのシーンだ。
士官学校チームはノートルダム大学と試合をおこなうが、相手のパス攻撃に翻弄され敗れてしまう。

この試合こそが、
いまや、アメフトの醍醐味である「フォワードパス」が、戦法として準備され試合で実践された最初の試合とされていることだ。
ランとパスを織り交ぜた現代アメフトのオフェンスはこの試合から始まったらしい。

たぶん?
アメリカ人にとっては、「ああ、あの試合ね」なのかもしれないが、
相手のパス攻撃に困惑し混乱する士官学校チームを見て、最初はよく理解できなかったが、鑑賞後にWikipediaに教えてもらった。

勉強になりました(笑)。

4.まとめ

またまた、知らざる名作に出会った。
138分の作品、エピソードてんこ盛り、縁の下の力持ちにスポットをあてた伝記映画の傑作。

家族、友人、教え子たちとの愛、
決して直截的ではないが反戦、
ジョン・フォードのフィルターを経て受け取った。

これだけの作品がなぜポピュラーではないのか考察を試みた。

◆著名な映画賞と無縁だったこと
◆派手なアクションや戦闘などがないこと
◆知らない人の伝記であること
◆ヤマ場、が分かりにくい(あるいは、ない)こと

ではなかろうか。
私は涙したのだから、ラストがヤマ場、で良いか(笑)
母の好きな俳優加点を0.5
あわせて☆5.0

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Haihai

3.5士官候補生に慕われていたマーティ

2025年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

タイロンパワー扮するウエストポイント陸軍士官学校下士官マーティマーは陸軍で50年勤めていた。

最初は給仕てして働いたものの皿を割りまくっていたね。結婚して妻の希望通り故郷には帰らなかった。息子が生まれて直ぐ亡くなって残念。でも士官候補生に慕われていたね。実話だそうだが、教え子を戦場へ送り出し複雑な気持ちなれど幸せな人生だったんじゃないかな。

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重

3.5陸軍士官学校の教員として生きた男の一代記。 喜び、苦悩、しっかりと...

2024年9月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

陸軍士官学校の教員として生きた男の一代記。
喜び、苦悩、しっかりと描かれており、なかなか面白かった。が、めちゃくちゃ感動、というわけではない。古い作品だからか。

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はむひろみ

5.0男の半生記

2024年8月14日
iPhoneアプリから投稿

コメディと半生記が混じった様なしかし品の良い作品。
後輩を大事にするのも大切ですよね
楽しめました

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alextm

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