劇場公開日 1953年4月18日

「オンディーヌ・マリリン」ナイアガラ きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 オンディーヌ・マリリン

2025年10月13日
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鑑賞方法:VOD

1953年アメリカ映画。

とろけるようなM.M.の笑顔も
物語が進行すると次第にこわばっていく。
マリリンの眉間には しわが寄り、
観ている僕も、話の筋が見えてくると眉間にしわだ。

小学生の時分に一度テレビで観たこの映画。今回数十年ぶりの再鑑賞です。
(子供にはわからなかった)そのドス黒いストーリーには驚き怪しむばかりです。

つまり、
朝鮮戦争で、気の毒にも「戦争神経症」を患い、パニック症状を見せるようになったその夫に嫌気が差して、
”間男“と共謀して夫を滝つぼに突き落とそうという「不道徳で生々しい完全犯罪計画」!
しかしこの三人とも破滅の死を迎える・・というバッドエンド。

こんな無慈悲であられもない筋書きが、朝鮮戦争の直後であるにもかかわらず当事者の自国で!許されるとか、まったく理解に苦しみます。この映画でどれだけの退役軍人が、そしてその家族が傷付いただろうか。

お目当てのマリリン・モンローさんも呆気なくの退場でした。役者としての登用ではなく興行の売り上げ目的。つまり客寄せのためのキャスティングだったっぽいですね。
時代が変われば当時の映画への評価も変わるというよい見本だと思います。

焦点の合わないその眼差し。流し目と真っ赤な口紅。「KISS の歌唱」にはとろけさせて頂きましたよ。死に様もエロいことは確かです。
しかし三人とも壊れていました。
「反社会的映画」でしたね。はい(笑)

・ ・

さて、ナイアガラの思い出を。
「霧の乙女号」には
大むかしに乗船しました。あの「水しぶきの木の遊歩道」もレインコートを借りて上り下りしました。ナイアガラのほとりの可愛いペンションに宿泊したのです。

宿帳を書きながら First time?と訊かれたので Yes, fun fun !と答えたらロビーのソファの女子たちに大笑いされたんです
Hi beauties ♥

滝はどこですか?と尋ねると Every way♪とまた笑う。
そうなのだ、気が付けばもう地響きがします。そこらの木々の向こうからド・ド・ド・ド・ド と低周波で下腹を打つのです。

「滝の音、滝の音 まだ 滝見えず」
( ⇒拙レビュー「滝を見に行く」を )。

山梨の白糸の滝や、紀州和歌山那智の滝。あれらにはほおっと息を漏らしてその美しさやしめ縄の意味にも納得したものですが、
ナイアガラは違いました。清められるどころか「災害級」としか形容出来ないほどの荒々しさがある。

魔性の女と この奈落の瀑布をオーバーラップさせて、男どもを滝つぼに引きずり込む仕掛け。
夫殺しはもとより「ここでは悪い事しか起こらない ―と思わせる異様さがあります。胸騒ぎが起こる滝です。

きりん
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