泥棒成金のレビュー・感想・評価
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泥棒成金
1. はじめに
昨年末の2024年12月24日に、映画「泥棒成金 To Catch A Thief ('55米=パラマウント)」の最新国内版ソフトであるBlu-ray 4K Ultra HDが発売されたので早速購入してみた。
「泥棒成金」は個人的にもっとも好きなアメリカ映画の一本なのだが、これまでに何回観て、何度ソフトを買い直してきたことだろうか?余りに長い年月に渡り嵌まり続けてきたので、そろそろ落とし前を付ける必要があると感じていたこともあり、これまでのTV放映、劇場、ビデオソフト等による鑑賞記録を眺めながら、同じ映画のソフトの画質や音質がどれだけ進化して来たのか、或いはソフトを製作する側の意図や感性の違いによって、どれほど異なる仕上がりになってきたのかについて振り返ってみたいと思う。
2. 「泥棒成金」との出会い
はじめてこの映画を観たのは1979年で日本テレビの土曜午後の放映枠での日本語吹き替え版だったが、106分の上映時間の内、35分近くがカットされた酷い短縮版だったせいで映画の良さが伝わらず、ほとんど記憶に残らなかった。
次に観たのが1982年9月1日(水)、渋谷パルコ SPACE PART3で開催されていた「淀川長治映画祭」においてであり、画面両サイドをトリミングされた16ミリのスタンダードサイズ版で、しかも日本語字幕が被さると画面全体がセピア色に変色してしまうという劣悪なプリントだったが、はじめて正味106分のノーカット版を観ることが出来たことで、同じくパラマウントで製作された前作「裏窓 (’54)」と同様、当時のパラマウント映画ならではの魅力である明るい都会調のタッチが存分に感じられ、それと同時にそれ以前のヒッチコック作品にみられたフィルムノワール的なダークなタッチが影を潜め、それと置き換えたかのようなユーモアたっぷりで円熟味溢れる華麗な演出、ヴィスタヴィジョン&テクニカラーによる超高精細で、且つ色鮮やかな色彩撮影、イーディス・ヘッドによる洗練された数々の衣裳をまとったクール・ビューティーとしてのグレース・ケリーの魅力、ケーリー・グラントのカッコ良さ、ジョン・ウィリアムス、ジェシー=ロイス・ランディス等の名脇役によるこれまた洗練されたユーモア等に惹きつけられ、完全に酔いしれてしまった。それから僅か17日後にTVで再見することになるなどこの時点ではまったく想像すら出来なかった。
1982年9月18日(土)の夜、フジテレビのゴールデン洋画劇場:「泥棒成金 世紀の美女グレース王妃を悼む」
1956年の映画「上流社会 High Society ('56米=MGM)」を最後に映画界を引退し、モナコ公国の王妃となったグレース・ケリーが、同9月14日(火)に交通事故で亡くなった。52歳という若さだった。渋谷で観た直後でもあり、かなりのショックを受け、このショックがその後かなり尾を引いてしまうのだが、TVの吹き替え版で今度は2時間枠21:00~22:55分(CMを差し引いた正味放映時間は約95分)で観ることが出来た。やはり素晴らしい!更にこの時のTV放映用のプリントの質が良好でテクニカラーの発色が美しく、ヴィスタヴィジョン本来の魅力を存分に堪能出来たことで、すっかり心を奪われてしまった。
3. ヴィスタヴィジョンについて
1950年代半ば、台頭してきたTVの脅威に対抗し、観客動員数の維持拡大を目的に、各映画スタジオではスクリーンの大型化、音声のステレオ化、映像の3D化等を競って行っていたのだが、その中でパラマウントが採用したのがヴィスタヴィジョンと呼ばれる撮影システムだった。これは普通の35ミリのネガフィルムを従来の上下(垂直)方向ではなく、写真のカメラフィルムの様に左右(水平)方向に動かして撮影する方式である。これによりそれまでのフィルムの横幅が縦幅となる為、一コマのサイズが格段に大きくなり、超高精細な画質が得られたのである。この時期パラマウント以外のメジャースタジオであるMGM、20世紀フォックス、ワーナーはいずれも35mmフィルムを従来の上下(垂直)方向に動かして撮影するシネマスコープを採用していた。シネマスコープの場合、アナモルフィック(スクイーズ)レンズで左右方向の画像を圧縮したプリントを、上映時にアナモルフィック(デスキュー)レンズで左右に引き延ばすことによって、横長の大スクリーン〔アスペクト比(横:縦)=2.35:1〕が得られるのだが、高精細なヴィスタヴィジョン〔アスペクト比(横:縦)=1.85:1〕に比較するとピントが甘く、粒子が洗いと言った欠点が拭えなかった。ヴィスタヴィジョンで実現した高精細な大スクリーン仕様の撮影システムは、その後のスタンダード65ミリ(Todd-AO、Super Panavision)や70ミリ(Ultra Panavision 70、またはMGM Camera 65)、そして現在のIMAX〔70ミリフィルムをヴィスタヴィジョンの様に左右(水平)方向に動かして撮影する〕に受け継がれていく。
パラマウントは1954年の「ホワイト・クリスマス White Christmas ('54)」を皮切りに、1960年までの同社のほぼ全て(?)の作品をヴィスタヴィジョンで製作している。因みにヒッチコック監督作品としては、「泥棒成金」に続くパラマウントでの3作品、「ハリーの災難 The Trouble With Harry ('55)」、「知りすぎていた男 The Man Who Knew Too Much (’56)」、「めまい Vertigo ('58)」がヴィスタヴィジョンで撮られているが、MGMでの唯一の監督作品となった「北北西に進路を取れ North By Northwest ('59)」をわざわざヴィスタヴィジョンで製作していることからも、ヒッチコック自身が如何にこの撮影システムを気に入っていたかがよく分かる。
4. その後の鑑賞記録と素材の画質、発色比較について
・第4回: 1983年4月5日(火)・・・文芸座ルピリエ(池袋)にて、「鳥 The Birds (‘63米=ユニヴァーサル)」との2本立て上映。なんと、「淀川長治映画祭」と同一の16ミリフィルム〔アスペクト比(横:縦)=1.33:1〕に再遭遇してしまった!
・第5回: 1983年7月30日(土) 0:15~2:05・・・フジテレビでの再放映を観る。
・第6回: 1984年4月20日(金)・・・アテネフランセ文化センター(お茶の水)で開催されていたヒッチコック監督特集にて。16ミリフィルムだが、前記劣悪なプリントではなく、全編良好な色彩のプリントだった。
・第7回: 1989年12月3日(日)・・・国内版ビデオソフト(VHS)がはじめて発売された為、購入した。
当時のスタンダードサイズのTV用ソフトであり、アスペクト比(横:縦)は、1.33:1のトリミング版。画質と色彩が前記フジテレビで2度観た際のプリントの発色には遠く及ばず、かなりガッカリした。(Ref.: Photo 1)
・第8回: 2003年1月25日(土)・・・国内版のDVDが発売された為、購入した。
【2002年版DVD】(Ref.: Photo 2 & Movie 1)
画質、発色は大幅に改善されたが、粒子が粗い。1982年と1983年にフジテレビで放映された際の色彩、画質には達しておらず、不満足。本ディスク以降はオリジナルのヴィスタサイズ仕様になっている。音声: モノラル
・第9回: 2012年8月12日(日)・・・国内版のBlu-rayが発売された為、購入した。
【2012年版Blu-ray】(Ref.: Photo 3 & Movie 1)
フルハイビジョン画質になり、自然で鮮やかなテクニカラーの持つ美しい発色と、ヴィスタヴィジョン本来の超高画質が遺憾無く発揮されている。コントラスト、色合いも映画製作時にヒッチコック監督自身が意図し、「映画術 ヒッチコック/トリュフォー(晶文社刊)」の中で、トリュフォーのインタビューに対してヒッチコックが答えている「夜のシーンで空の青さが浮かびあがらないように、フィルターをかけてテクニカラーの青(ブルー)を消すように努力した・・・あの美しすぎる紺青色の空というのは大嫌いでね。それでグリーンのフィルターを使って、濃い黒ずんだ感じのブルー、ほんとうの夜の色に近いグレーがかったブルーをだそうとした・・・」に限りなく忠実であり、大満足の出来である。過去にフジテレビで2度観た際の色彩にも限りなく近く、且つフルハイビジョン仕様になり、遂に完成領域に達したと言える出来となった。音声: 2chステレオ化。
・第10回: 2021年9月19日(日)・・・国内版Blu-ray(4Kリマスター版)が発売された為、購入した。
【2020年版Blu-ray】(Ref.: Photo 4)
4Kリマスター版と言うことなのだが、画質はともかく、色彩がおかしい。おかしいと言うのは、前記2012年版Blu-rayがヒッチコック自身が目指していたものに限りなく近かった理想的な仕様だったのに対し、本2020年版では夜間シーンのグリーンフィルターの色調が意図的に青色(ブルー)に変更されており、目を疑ってしまった。映画の製作者側の意図が完全に無視されているのだ。また、昼間のシーンについても全体的に言えることだが色合いが黄色(イエロー)側に偏ってしまっている。本件に関しては、米国のとあるWebサイトでも指摘されており、かなり問題視されたようだ。その為か、欧米では今でも、2020年版Blu-rayと2012年版Blu-rayの双方が発売されている。ところが日本市場においては、2020年版の発売により、2012年版の方は残念なことに廃盤になってしまった。音声: 5.1ch化
・第11回: 2024年12月28日(土)・・・国内版4K Ultra HD Blu-rayが発売された為、購入した。
【2024年版4K Ultra HD Blu-ray】(Ref.: Photo 5 & Movie 1)
早速購入してみたものの期待と不安が入り混じった状態だった。なんと夜間シーンが改善されており、元の2012年版に近いグリーン・フィルターの色調に戻されていたのでホッとした感じだった。但し、昼間のシーンについては、ほぼ2020年版のままの状態を維持しているようであり、やはり色合いがイエロー側に偏ったままである。よって、2012年版と2020年版のハイブリッド的な出来栄えだ。音声: 5.1ch仕様
5. 結論
以上より、個人的には、2002年版DVDに比較して格段に改善された2012年版Blu-rayがこれまでに発売された「泥棒成金」のベストである。4Kリマスター版Blu-rayや4K Ultra HD版と比較しても、家庭サイズのモニターで見る限りは大差がなく、充分高画質で且つテクニカラー本来の発色が再現されていること及び製作者側の意図を充分配慮した仕上がりになっているからだ。
とまあ、様々なメディア、素材で観続けて来た「泥棒成金」だが、今後映画館の大画面で理想的な素材で観る機会は訪れるのだろうか?この映画こそ、それこそIMAXの大スクリーンで観てみたいものである。
*:Referenceについて
本当はPhoto 1~5を添付したかったのですが、ここでは無理なので、別の機会に。
Movie 1については、You Tubeで、“To catch a Thief VIDEO COMPARISON”で検索すると、画質比較をした見事な動画を観ることが出来ますが、問題の2020年版Blu-rayは比較対象から除外されています。
キャット‼️
ホントに華やかでリッチなヒッチコック・サスペンスですね‼️50年代、ヒッチコック監督全盛期の作品で、間違われた男パターンの犯罪サスペンスであり、同時にスクリューボール・コメディの快作でもあります‼️引退した宝石泥棒キャットことロビーが住むフランス・リビエラで宝石盗難事件が続発。その手口たるや、かつてのキャットそのもの。疑われるロビーの前に、わがまま令嬢フランシーが現れる・・・‼️まるでカードゲームみたいに、キャットとフランシーのスリリングな駆け引き、ウィットに富んだ洒落た会話、魅惑的なラブシーンをただ眺めてるだけで、幸せな時間を味わえる作品です‼️
超絶美貌
ハリウッド映画らしいがヒッチらしくはない
宝石泥棒が絡んでいるので一応犯罪映画ですが、典型的なハリウッド俳優の共演、当時まだ少なかったテクニカラー、観光映画的な南仏の明媚な風景、などゴージャスな雰囲気の漂うハリウッド娯楽作品ですから、スリラー、サスペンスは皆無、ストーリーも緩くてプロットらしいプロットもありません。
ヒッチがご贔屓のケリー先輩を前作に続いて使って気楽に撮った作品なので、日曜の昼下がりに寝っ転がって呑気に観るにはよいでしょう。
(参考)
ヒッチ好みの女優は上流階級の真摯な淑女が寝室に入った瞬間にケダモノに化けるようなタイプで、モンロー先輩のように顔中にセックスをベタベタ貼ったような女はダメだそうです。故に彼の好みはイギリス、スウェーデン、ドイツ女性で、ラテン系はダメとのこと。
ケリー先輩を始めは冷たく撮ってスチュアート先輩にいきなり熱烈なキスをする展開は、その考え方を具体的に表現したものだそうです。
【軽妙洒脱なるラヴ・サスペンス。グレイス・ケリーを始めとした女優陣の華やかな衣装や、ケイリー・グラントの端麗な姿も魅了です。】
■キャットの異名を持つ宝石泥棒だったものの、いまでは引退して南仏で悠々自適な暮らしを送るジョン・ロビー(ケイリー・グラント)。
だが、キャットを名乗る偽物が現れたことからジョンは警察に追われる身に。
保険会社のヒューソンの協力を得て、偽物の猫の正体を掴み、犯行を止めようとする彼だが。
◆感想
・キャットの異名を持つ且つて宝石泥棒ジョン・ロビーを演じたケイリー・グラントの余裕ある男の姿がナカナカ素敵である。
・けれども、矢張りジョンに惹かれていくフランセス・スティーヴンスを演じたグレイス・ケリーの魅力は凄いなあ、と思ってしまうよ。
■フランセス・スティーヴンスが警察に追われるジョン・ロビーを助手席に乗せて、地中海沿いの道をブッ飛ばすシーンは、流石のジョン・ロビーもハラハラした表情であったが、観ている方もグレース・ケリーの最期を知っているだけに、ハラハラしてしまったシーンである。そして、フランセス・スティーヴンスはジョン・ロビーに対し”貴方がキャットなんでしょ”と言いながらキスをするのである。
<誰が、偽のキャットだったか分かる屋根の上でのシーンなども、前半からキチンとヒッチコックはヒントを出しているし、今作は面白きラブ・サスペンスだと思います。>
公妃の気品
南フランスの美しい映像だけは魅せてくれたが…
グレースケリーのファッションショー
グレース・ケリーにはオープンカーが似合う
豪華なネックレス( 台詞によるとイミテーションらしいが )にも引けを取らないグレース・ケリーの美しさ✨
誰にも分かるようなヒッチコックの登場シーン、ケーリー・グラントの褐色過ぎる顔に笑った。
ー盗られるのを待っているのに
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
グレースケリーが美しいので他はどうでもいい
ヒッチコックの作品ってんで期待して見たが、話が面白くない。犯人に意...
おしゃれなユーモアとウィット
Blu-rayで鑑賞(吹替)。
元泥棒が汚名を晴らすために奔走する中でブロンド美女とロマンスを繰り広げる。ヒッチコック作品ならではのサスペンスは抑え気味でしたが、軽やかでおしゃれな物語でした。
グレース・ケリーが美しい。気品漂う端正な顔立ちと仕草が素晴らしいことこの上無し。水着姿もドレス姿もとてもエレガント。彼女がいるだけで、画面が一気に華やかになります。
ケーリー・グラントのダンディズムも欠かせない。服の着こなしも見事で、例えば冒頭の内向きツータックのゆったりしたズボンに細身のシャツ、赤いスカーフ…センスの塊かよ。
ふたりが交わす会話の妙。ユーモアとウィットの応酬が楽しい。昔の映画はそう云う会話がたくさん登場するような気がします。一度は誰かとおしゃれな会話をしたいものです。
※修正(2023/12/27)
映像がずっと興味を惹きつける
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