「トリュフォー監督の瑞々しい感覚が伝わる傑作」トリュフォーの思春期 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
トリュフォー監督の瑞々しい感覚が伝わる傑作
ティエールというパリから南に400キロ下った小さな地方都市の小学生達の6月から夏休みまでの1ヶ月程のお話
本作の主題は終盤で児童虐待を受けた児童のことで担任の先生が学級の児童全員に話をする内容であって、本作のそれまでのすべてのシーンはこれにつながる
その構成がまずすごい
先生の話が進むに従って、あのシーンこのシーンと走馬灯のように脳裏に甦ってくるのだ
またその各々のシーン、エピソードが瑞々しい
子供達の自然な演技、表情をよくぞ撮ってみせたものだ
そして、そのシーン全部が美しい色彩感覚でフィルムに撮られているのだ
原題はフランス語で、おこづかい
邦題の思春期の方が本作の内容をより的確に伝えて表現できており素晴らしい
映画の序盤はまだ思春期前の子供に過ぎない児童達が、映画が進むに従って次第に思春期に近づいていくのが見事だ
そうしてラストシーンは冒頭に出てくる少女とこの小学校の児童が思春期に足を踏み入れて終わる
見事な手腕としか言いようがない
誰しもが自分の思春期を思い出して、感慨と余韻が残る名作だと思う
トリュフォー監督の実力に感服するばかりだ
日曜日の午前中に似合う映画です
冒頭の絵葉書の場所は、パリからティエールに向かう途中300キロの辺りにあります
ラストシーンの林間学校はメリンドルと言う村
ティエールからさらに400キロ南に下ったマルセイユの70キロ程手前にあります
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