「【“植え付けられた記憶”ポール・ヴァーホーヴェン御大が「ロボコップ」の大ヒット後、自身の変態性を思いっきり開花させたグロテスクSF。夢物語なのか、現実なのかは見る側に委ねられます。】」トータル・リコール(1990) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【“植え付けられた記憶”ポール・ヴァーホーヴェン御大が「ロボコップ」の大ヒット後、自身の変態性を思いっきり開花させたグロテスクSF。夢物語なのか、現実なのかは見る側に委ねられます。】
ー ご存じの通り、ポール・ヴァーホーヴェン御大は故郷オランダで、ルトガー・ハウアーを一躍スターにした諸作品制作後、アメリカに渡り「ロボコップ」を製作し、大ヒットさせた。
続けて、公開された今作では、ポール・ヴァーホーヴェン御大が持つ変態性が随所で爆発するショッキングシーンが多く、観客を驚かせたそうである。因みにこれはNOBU説である。-
■建築家のダグラス・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、毎晩行ったこともない火星での悪夢に悩まされていた。
思い詰めた彼は、妻ローリー(シャロン・ストーン)が反対する中、人工的に旅の記憶を植え付けるリコール社で「火星で活躍する諜報員」の記憶を移植しようとする。
しかし移植処置の途中、彼に封印されていた記憶が蘇ってしまう。
彼は、実は火星の採掘会社を牛耳っているコーヘイゲン(ロニー・コックス)に反抗したハウザー(アーノルド・シュワルツェネッガー:2役)が記憶を消された人物であり、火星の反乱分子クアトーと共に、50万年前からあったエイリアンが作った動力炉(リアクター)があり、それを起動させることで、火星に空気を作ろうとしていた事が、描かれるのである。
◆感想
・今から30年以上も前のSF映画であるが、斬新なシーンが沢山あるし、グロテスクなシーンもテンコ盛りである。
・例えば、ダグラス・クエイドがハウザーに言われ、鼻の穴の中に入っていた発信装置を取り出すシーンや(イタソーである。)火星に住む人達の異様な姿(特に、印象的なのは3つの乳房を持つ女性である。)、ダグラス・クエイドを執拗に追うリクター(マイケル・アイアンサイド)が、両手首をエレベーターに挟まれ切断されるシーンや、火星の空気なき土地に放り出されたコーヘイゲンの両目が、飛び出すシーンなどは当時、可なりショッキングだったと、資料で読んだ記憶がある。
<だが、ダグラス・クエイドは、火星での恋人メリーナ(レイチェル・ティコティン)と動力炉(リアクター)を起動させ、空気が地中から噴出し、青い空が二人の目の前に広がり、二人はキスを交わすのである・・、と言う所で終わるのだが、これがダグラス・クエイドが“植え付けられた記憶”の中で観た夢なのか、現実なのかは明かされずに終わるのである。
勿論、オプティミストである私の見方は後者である。>
■今作後、ポール・ヴァーホーヴェン御大はシャロン・ストーンを起用した「氷の微笑み」を再び大ヒットさせるが、その後徐々に本来の変態性溢れる作品を作り始めた事は嬉しき限りである。(その代表作がイザペル・ユペール主演の「エル ELLE」である。)
これを、変態の連続性と言うのである。もしくは変態の編隊。