劇場公開日 2020年11月27日

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「夢オチは卑怯だが面白いからわりと好き」トータル・リコール(1990) 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0夢オチは卑怯だが面白いからわりと好き

2021年1月13日
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鑑賞方法:映画館

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興奮

2021年映画館鑑賞6作品目
1月7日チネ・ラヴィータ

木曜洋画劇場とか金曜ロードショーで何度も観たしVHSやDVDでも観た不朽の名作
映画館で観るのは初めてだ
今ではR15だが昔は地上波のテレビでやっていた自由な時代
たしかに最近はテレビで放送されていない気がする

今回はあえて字幕版で観た
シュワちゃんの吹替といえば玄田哲章
あるとき当時の職場で「シュワちゃんの声ってアホのスッパマンと一緒だぞ」と言われ興醒めしてしまいそれ以来吹替版は観なくなった
知識として当然知ってはいたが当時は身近な人にそれを言われるとイメージダウンになった
龍神丸ならともかくよりにもよってアホのスッパマンと混同されてはいただけない
ただでさえマッチョは頭が悪いというやっかみにも似た偏見が世の中には少なからずある
シュワちゃんは大卒で本当はインテリなのに

今回は今流行りの4Kリマスター版
4Kはいい面も有れば悪い面も有る
たしかに映像は鮮明になるがそれまでは目立たなかった粗まで鮮明になってしまう
それでも最近のハリウッド SF映画より数段面白い
CGを観ただけで終わる作品と違い映画を観たという実感が強い
腕時計を一度も見ることなく最後まで集中して観ることができた夢のようなひととき

66年に発表された原作『追憶売ります』はいまだ読んでいない
映画は90年の作品
のちにリメイクされたがあれは駄作だった

今と違ってCGとかがまだまだだった頃こんなに面白いものを作ったのは素晴らしい
『猿の惑星』『スターウォーズ旧三部作』『バックトゥザフューチャー』『ロボコップ』に並ぶハリウッドSF映画ベスト5

見どころ
執拗に急所攻撃する「妻役」のシャロン・ストーン
執拗にシュワちゃんを追いかけ上司命令を無視してまで殺そうとするも最期は両腕が千切れ転落死するハゲオヤジ
ロボットタクシー
専用の器具を使い鼻の穴より大きい発信機を取り出すシュワちゃん
かわいそうな男を盾にして身を守りそれを敵に投げつけるシュワちゃん
おばさんの変装からパカパカパカと開いて素顔が出てくるシュワちゃん
調子がいい自称5人子持ちの黒人タクシードライバー
火星のミュータントの人たちが集まる最後の楽園(特にオッパイ3つの娼婦)
正体を表すクワトー
火星の野外に飛び出して顔がすごいことになる3人

レビュアーの人達もいろいろ矛盾点を指摘しているがたしかにそうだがそれら全てはいいのである
なぜならこれは全て主人公の夢だから
タイトルは『トータルリコール』
「火星の青い空」
最後のホワイト
製作者も認めている
リコールに夢旅行に行ったときからの全てが夢なのである
いわゆる手塚治虫先生がタブー化した夢オチである
夢という現実を認めない人はわりと多い
だがこの作品が「本物」であることは間違いない
グロい描写が多いがそういう映画が好きな人にはおすすめです

野川新栄