「しばらくお肉が食べれなくなりそうです」トータル・リコール(1990) あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
しばらくお肉が食べれなくなりそうです
フィリップ・K・ディックの短編小説の映画化作品でございます。原作の方は読んでいないので、本作とどう違うのか分かりませんが、「記憶」が題材で共通しているのは間違いなさそうです。
植えつけれた記憶を元に生きていた主人公は、毎日のように夢を見ます。そして、その夢に突き動かされて行動したら、今まで妻だったり友人だった人が突然、自分を殺しにやってくるという近未来の物語。
ここでのミソは、記憶をすり替えられる前の本当の自分が夢を見させていた、ということになるのでしょう。そして、二つの顔を持つ当人が、本当の自分を探して火星の旅に出ることになります。ここからはネタばれになるので書きません。
「氷の微笑」と同じ監督のポール・バーホーベンさんは、この手の心理学的な題材を扱うといい演出をします。勝手ながら想像すると、この人はモノクロだった時代の作品の影響を強く受けていると思います。本作は近未来が舞台ですが、どこか古典的なテイストがあるのです。
一番好きだったシーンは、火星の町を歩いている主人公に特殊能力を持った人が「お前の未来を占ってやる」と言うと、主人公が「俺は過去を占えるぞ」という粋なセリフ。時系列というのは永遠のミステリーです。
とは言うものの、途中からはシュワ氏演じる主人公が執拗にマシンガンをぶっぱなし、凄惨なシーンが連続して出てきたので、観た後は胸やけしたみたいな感覚を覚えました。おばあちゃんが「ふぁっくゆーあーすほー!」なんて叫ぶ描き方にも寒気覚えました。あまりにも露骨な人の描き方に心はドン引き状態。
それでも、この人の他の作品も観てみたいとは思いました。