「嘘から出た実。 シュワちゃんの筋肉VSカーティスの爆乳、勝つのはどっちだっ!?」トゥルーライズ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
嘘から出た実。 シュワちゃんの筋肉VSカーティスの爆乳、勝つのはどっちだっ!?
家族にも正体を隠している凄腕スパイのハリーとテロリスト集団との戦いを描いたアクション・コメディ。
監督/脚本/製作は『ターミネーター』シリーズや『エイリアン2』の、名匠ジェームズ・キャメロン。
主人公ハリー・タスカーを演じるのは『ターミネーター』シリーズや『プレデター』のアーノルド・シュワルツェネッガー。
第52回 ゴールデングローブ賞において、ジェイミー・リー・カーティスが主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞!
史上初めて製作費が1億ドルを超えた事で知られる一作。
『ターミネーター』(1984)、そして『ターミネーター2』(1991)でコンビを組んできたジェームズ・キャメロンとアーノルド・シュワルツェネッガーがまたしても合流。シリアスかつハードなSFアクション『ターミネーター』シリーズとは180°趣の違う、ギャグありお色気ありのドタバタアクションコメディとなっており、シュワちゃんはともかくキャメロンがこういう映画を撮るとは正直意外だった。
キャメロンは本作で新境地を切り拓いてやろうと思っていたのかも知れないが、結局今に至るまでここまで軽いタッチの作品は生み出されていない。ベタなスパイコメディだが、だからこそ今なお異彩を放つ一本である。……まぁこれ以降キャメロンが監督した劇映画は『タイタニック』(1997)と『アバター』シリーズ(2009-)だけなんだから、当たり前と言えば当たり前なんだけどね。
さんざっぱら「ゴールデン洋画劇場」で放映されてきた作品だが、今回はDisney+で鑑賞。
…………ちょっと待って。玄田哲章吹き替え版が入ってないやん!どうしてくれんのこれ?玄田さんと若本さんの掛け合いが観たかったから鑑賞したの!それなのに玄田版がないなんて…ホンマ使えんわぁ…。
というわけでテンションガタ落ちのまま鑑賞する羽目に。因みに配信版でシュワちゃんの声を演じているのはエド・ハリスとかジャン・レノの吹き替えでお馴染みの菅生隆之さん。彼も勿論名優だが、シュワちゃん=玄田哲章でインプットされてしまっているので、それ以外の声を受け入れるのは到底不可能。迷った挙句仕方なく字幕版で鑑賞する事に。…でもこれ字幕が戸田奈津子なんだよねぇ。戸田字幕は言葉遣いが独特な上ギャグがつまんねぇから出来れば観たくないんだけど…。まぁ背に腹は代えられないのである。
ここからは映画の感想。
………長っえっ!!このジャンルで140分オーバーは長過ぎるよー。
キャメロンの作る映画は往々にして高カロリー&大ボリューム。2時間以内に収まっている劇映画って『殺人魚フライングキラー』(1981)と『ターミネーター』だけなんじゃないかな?
まぁこれは人によりけりだとは思うのだけど、キャメロンの映画は観ている途中でめちゃくちゃ眠くなる。爆食いした後血糖値が一気に上がって猛烈な睡魔が襲ってくる、あの感じに近い。『エイリアン2』(1986)を観ていた時もすげー眠くなったんだけど、今回もやっぱり眠かった…というか途中で寝ました。1日で観終える事が出来ず、2日に分けて観ました。
キャメロンのサービス精神の旺盛さは認めるが、もう少しコンパクトに纏める術も身につけて頂きたい。
内容としては往年のスパイ映画をパロディしつつ、前半は『ポリス・ストーリー』シリーズ(1985-)、後半は『ダイ・ハード』シリーズ(1988-)からエッセンスを抽出したかのようなド派手なアクションが展開される。
人馬一体ならぬ筋馬一体の乗馬チェイスや、本物のハリアーを使用して撮影されたビッグブリッヂの死闘など、お楽しみポイントは盛りだくさん。
特に後半1時間は見せ場見せ場見せ場のオンパレード!これぞハリウッド製アクション映画だと膝を打ちたくなる出来。流石はキャメロン、こういう山場を作るのが本当に上手い👏
ただ、そこに至るまでのホームコメディ展開が長えっ!あまりに長いので、だんだんと「これいつまで続くんだ…?」と不安になってくるほど。しかもここのシュワちゃんは普通にキモい…というか怖い。ただのストーカーじゃん。
妻の浮気を疑ってソワソワする所や、浮気相手の職場である中古車販売店にお客さんを装って潜入する所までは笑えるが、流石に奥さんを拉致してセクハラ紛いの質問を繰り返すのは、公開当時でも倫理的にアウトだったのではあるまいか。
ハリウッドNo.1の爆乳とも噂されるジェイミー・リー・カーティスがその肢体を曝け出す謎ダンスシーンなんて、「俺は今一体何を観させられているんだ?」と頭を抱えてしまった。そりゃまぁ目の保養にはなりましたけど…。いくら夫婦だからといって、同意なき性行為はレイプと一緒だぞ!😡
全体の評価としてはう〜んだが、部分部分は盛り上がる。シュワちゃんの筋肉とカーティスの爆乳を同時に楽しめるし、山場だけをちょこちょこ摘んで観れば非常に楽しめるのではないでしょうか。
……そう言えば、キャメロンの次回作(と言っても『アバター』が完結してからになるのだろうからいつになるのかは全く分からんけど)は広島や長崎を舞台にした原爆映画らしいっすね。
ノーランの『オッペンハイマー』(2023)について「道徳的な責任から逃げたところがある」などとコメントしていたキャメロン。…いやあんた、この映画の中でめちゃくちゃ不謹慎な原爆ギャグをぶちかましとるやないかいΣ(・□・;)
まぁ確かにシュワとカーティスのキスシーンには原爆並みのインパクトはあるが…。とにかく、この映画を作っていた時とは立場も考え方も変わったという事だろう。一体どんな映画になるのか、今から興味が尽きません。