「恋する人は天使さ」天使の涙 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
恋する人は天使さ
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"ウォン・カーウァイ 4K" で鑑賞(2K上映・字幕)
ウォン・カーウァイ監督作品、今回が初鑑賞でした。
アップを多用するカメラワーク、シャッタースピードを落として捉えられた香港の街、時折挟まれるモノクロ映像など、おしゃれで素敵で幻想的で、まさに「芸術」だなと思いました。
ひとつの映画の中にふたつの物語があり、それらが殆ど関わり合い無く進行して最後に漸く、ちょっと交わる…
斬新な語り口だなと思いました。
殺し屋とエージェント、金髪女性との三角関係と切ない別れを、際どく淡く描いていたパートも良かったですが、個人的にはモウ(金城武)のパートが好きだなぁ、と…
遅い初恋と失恋(心情を髪色の変化で描いた手法、ステキ過ぎる。それが撮影時の偶然の産物を使った演出と云うのもすごい)を経験したモウが、父親との突然の別れによって、自分がもう子供ではいられないと悟るシーンが感動的でした。
ふたつのパートに通底していたのは、恋は純粋すぎる心の動きで、誰でも天使みたくなってしまう、と云うことかと…
だからこそ、男も女も恋心の前では驚くほどピュアになり、嬉しさであれ悲しみであれ、流す涙は美しく頬を伝う…
モウとエージェントがバイクにふたり乗りで疾走し、トンネルを抜けてふと覗いた空の解放感がとても印象的でした。
恋は人を前進させ、生き方そのものまで変えてしまう、とてつもない力を持った感情なのだと、改めて感じました。
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