「ウォン・カーワイのゴールド」天使の涙 momoさんの映画レビュー(感想・評価)
ウォン・カーワイのゴールド
スタイリッシュでピュアな作品だ。
恋をすると女は皆、天使になるのだろうか。
女たちの恋する心は天使のようにピュア。
殺しのエージェントを稼業にしていても、天使のような金のクルクルパーマの派手な頭で遊び人を気取っていても。
黒髪の平凡な女が人を信じすぎて金髪アレンに彼氏を横取りされても。
3人とも簡単には諦めきれない位に一途。
そして、恋を失い天使は涙を流す。
人の店を勝手に開けて夜中に営業する変な稼業をしているモウの遅れ馳せの恋もとても純粋だ。
黒髪の彼女を乗せてサッカー場までバイクでひとっ飛び。試合が終わって照明が落ちるまでの短い恋。
モウにアイスクリームを大量に食べさせられたりする毎回ターゲットにされるヒゲ男は気の毒だが、めちゃくちゃコミカル。大家族でアイスクリーム屋の車に乗って疾走するシーンが素敵だ。
モウが豚の背中に乗ってマッサージするシーンも。
何よりモウとお父さんとのさり気ない日常が微笑ましい。モウが撮ったホームビデオの映像はグラグラ揺れてぶれまくっているけど、ビデオの中のお父さんはとてもいい笑顔だ。ブレてるから余計に素敵なんだ。
モウにビデオの楽しさを教えてくれた居酒屋の斉藤さんありがとう!
モウはお父さんの前ではいくつになっても子供だけど、遺品を整理していて初めて大人だったと気がついたところも好き。
金城武は口がきけない設定になった分、恋する惑星よりも面白い演技をしている。
パイナップルの缶詰の食べ過ぎの設定や、平凡だった女の子が変身してスチュワーデスの制服で現れた時にはくすりとさせられた。
エージェントの女は強そうに見えてもやっぱり女。
モウに送って貰うバイクの背中で刹那の温もりを感じる。この終わり方がめちゃくちゃおしゃれだなー。
エンドロールが終わっても、OnlyYouが耳について離れない。