「混沌とした時代が産み落とした驚異的なブラックコメディ」デス・レース2000年 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
混沌とした時代が産み落とした驚異的なブラックコメディ
ベトナム戦争の終結直前に公開された本作は、狂気と熱狂が相まった不思議なカルト現象をもたらした。そもそも舞台となる米大陸横断レースからして、スピードのみならず、「人をどれだけ轢き殺せるか」を競わせるという狂気じみた設定。しかも政府がこのレースを主催し、その一部始終が全米に生中継されるという有様だ。幸い本作は「ブラックコメディ」なので、バイオレンスもエロも余裕を持って受け止めることができる。が、時折、ジョークの中に本気で権力に殴り込みを仕掛けるような自由の渇望、反骨精神が見え隠れするから油断がならない。それにB級映画の帝王ことロジャー・コーマンが手がけていることもあり、低予算のもとでとんでもないものを作り上げて観客を驚かせようという意欲がみなぎっている。本作が人々の心を捉えて離さない理由はそこにあるのだろう。ちなみに監督のポール・バーテルは、本作の舞台となった「2000年」に亡くなったそうだ。
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