劇場公開日 1958年10月11日

「テーマを表現しきれていないストーリー」手錠のままの脱獄 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 テーマを表現しきれていないストーリー

2025年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 まだ黒人差別が激しかった時代。そういう時代に、白人と黒人が手錠に繋がれたまま脱走し、友情を深めていくという設定とテーマは面白い映画。ただ、肝心のストーリーはあまり面白くない。

 具体的には、二人の感情の変遷の描き方がいまいちだ。彼らが対立していた状態から友情が芽生えていく過程にフォーカスしてストーリーを作るべきなのに、そこに納得感を感じさせるエピソードがあまり出てこない。その割に脱獄犯の白人と主婦の恋愛パートが中途半端に長くて、肝心のテーマがなおざりになっているように思う。

 似たような種類の映画だと『グリーン・ブック』がある。こちらもテーマは似ている映画だが、敵対意識のある白人と黒人との間に友情が芽生えていく過程にしっかりとフォーカスしたストーリーで納得感がある。製作年代が離れ過ぎている映画なので単純に比較できない部分はあるにせよ、『グリーン・ブック』と比較してみても今作はいまいちだった。

根岸 圭一