できごとのレビュー・感想・評価
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「“できごと”のみを語ろうとする試み」は見事!
冒頭、「屋敷を固定カメラで暫く捉えた映像」を見ていると「自動車クラッシュ音の物凄い音」が……という【映像と音】による見事な場面から始まるこの映画、不気味な緊張感が続くジョゼフ・ロージー監督作。
「自動車クラッシュ音」から、なにかしらの事件が起こったような雰囲気の中で、屋敷から歩いて来たダーク・ボガードが自動車に近づいて、自動車の中では男が血だらけ……となっていれば、「これはダーク・ボガードが怪しい!?」と思うのはジョセフ・ロージー監督『召使』を思い出すから…?(笑)
色彩あざやかな風景の中で、学生男女の恋、教師と美人女学生の恋愛問題、不倫、家庭事情、ある人の死、など様々なエピソードを綴ってはいるが、登場人物への感情移入を極力避けて「“できごと”のみを語ろうとする試み」は見事であった。
ネタバレしてしまうと面白くなくなりそうなので、取り敢えず「鑑賞オススメのジョセフ・ロージー監督作のひとつ」ということで…(^^)
人間の二面性
ニコラス・モズリー(作家/父親はオズワルド・モズリー卿)の原作を
ハロルド・ピンターが脚色した1967年英映画
モズリーはオックスフォードに在籍し失望したらしい
顔を踏みつけられるウィリアムは彼の反映か
緑豊かで、勉学(哲学)するには一見理想的な
オックスフォードとスティーブン(ボガード)の田舎の家を背景に
教師とその妻、同僚、教え子の各々の思惑、欲望が見え隠れする
他の作品ではイタリアのお嬢イメージのササールが
(ロージーらしく例によって)お嬢だが、可愛くない
彼女に惹かれる青年と下心みえみえの二人の哲学科の教授(オヤジ)
この教授たちのお嬢アンナへのアピール(左派系学者のお嬢狙いか?)と
テレビ出演等、知名度のマウント合戦もなかなか見苦しいが、ありそう
スティーブンにライバルへの妬みが感じられる
ラストでウィリアムとアンナの間に図々しく、割って入ったチャーリー(ベイカー)よりも
彼の方が下卑野郎であることが明らかになる
職業柄、インテリと判断される二人の哲学科教授の俗物性に笑えるが
ロージーとピンターが自身を投影してもいそう
教授たちの傍若無人が一番邪心のない青年に悲劇をもたらす
これは因果関係的に左派系学者による貴族殺し、にあたるのだろうか?
が、アンナとフランチェスカ(セイリグ綺麗!)の選択に、彼等の前に静かに横たわる「階級社会」も感じられる
事件の後も何事もなかったかのように営まれてゆく(不気味) スティーブンの家庭…
ロザリンドを演じるヴィヴィエン・マーチャントは
当時のピンターの妻であるが二人の関係は終わっていたらしい
製作してるメンバーも 色んな意味で怖い
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