劇場公開日 1969年8月2日

「人間の二面性」できごと jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人間の二面性

2021年10月13日
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ニコラス・モズリー(作家/父親はオズワルド・モズリー卿)の原作を
ハロルド・ピンターが脚色した1967年英映画
モズリーはオックスフォードに在籍し失望したらしい
顔を踏みつけられるウィリアムは彼の反映か

緑豊かで、勉学(哲学)するには一見理想的な
オックスフォードとスティーブン(ボガード)の田舎の家を背景に
教師とその妻、同僚、教え子の各々の思惑、欲望が見え隠れする

他の作品ではイタリアのお嬢イメージのササールが
(ロージーらしく例によって)お嬢だが、可愛くない
彼女に惹かれる青年と下心みえみえの二人の哲学科の教授(オヤジ)

この教授たちのお嬢アンナへのアピール(左派系学者のお嬢狙いか?)と
テレビ出演等、知名度のマウント合戦もなかなか見苦しいが、ありそう
スティーブンにライバルへの妬みが感じられる

ラストでウィリアムとアンナの間に図々しく、割って入ったチャーリー(ベイカー)よりも
彼の方が下卑野郎であることが明らかになる

職業柄、インテリと判断される二人の哲学科教授の俗物性に笑えるが
ロージーとピンターが自身を投影してもいそう

教授たちの傍若無人が一番邪心のない青年に悲劇をもたらす
これは因果関係的に左派系学者による貴族殺し、にあたるのだろうか?
が、アンナとフランチェスカ(セイリグ綺麗!)の選択に、彼等の前に静かに横たわる「階級社会」も感じられる

事件の後も何事もなかったかのように営まれてゆく(不気味) スティーブンの家庭…

ロザリンドを演じるヴィヴィエン・マーチャントは
当時のピンターの妻であるが二人の関係は終わっていたらしい
製作してるメンバーも 色んな意味で怖い

jarinkochie