劇場公開日 1996年7月6日

「良質のSFディザスターアクション」ツイスター kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良質のSFディザスターアクション

2023年8月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WOWOWの放送にて。

先頃『氷の微笑』の4K 30周年記念レストア版が公開されたが、その紹介記事に必ずと言ってよいほど書かれていたのが「ヤン・デ・ボンが撮影を担当」…である。
ヤン・デ・ボンは、監督デビュー作『スピード』と続く本作『ツイスター』で一躍注目の監督となったが、ハリウッド版GODZILLAの監督が流れた後、監督としてさしたる活躍はない。

この映画は、アメリカ南部の一軒家を竜巻が襲い、一家の父親が犠牲になるエピソードで始まる。この一家の女の子がとても可愛い。エンドロールでアレクサ・ヴェガという名前が確認できたのたので調べてみると、『スパイ・キッズ』の女の子だった。
その女の子が成長した姿をヘレン・ハントが演じる。彼女は竜巻を追う研究者(ストーム・チェイサー)になっていた。
このヘレン・ハントが、男勝りで命知らずなのだが、洗いざらしの金髪と白Tシャツが色っぽい。

アメリカの広大な農業地帯を次々に巨大竜巻が襲う。遮るものがなくだだっ広いトウモロコシ畑や牧草地だから竜巻が起きるのだろう、海の向こうの現象なのだと、公開当時は解釈していた。
しかし、最近は日本でも竜巻や突風による被害のニュースが聞かれるようになった。屋根が剥がされて巻き上げられる被害は日本でも発生するようになっている。
地球温暖化による気象変化なのだろうか。

と、言っても、この映画で描かれる竜巻はスケールが違う。
そこに敢然と立ち向かうストームチェイサーたちの挑戦の姿は、涙ぐましいほどだ。

実際、ストームチェイサーたちは、今日も研究に余念がない。探れど探れど自然の驚異は人の想像を越えてくる。彼らの命がけの研究は、文字どおり飽くなき戦いなのだ。

物語としては、ジョー(ヘレン・ハント)とビル(ビル・パクストン)の離婚手続き中の夫婦二人を主人公に、ストームチェイサーの仲間やライバルたちの闘いを描いていく。
キーアイテムはビルが開発した観測装置で、そのアイディアを盗用したかつての仲間がライバルとして登場する。
ビルが再婚予定の恋人も成り行きで竜巻追跡ツアーに同行するが、この恋人はストームチェイサーを一般人の目線で見せる役割になっていて、途中でついて行けなくなる。

父親を奪った巨大竜巻に挑み続けるジョーの執念と葛藤。そんなジョーと別れて竜巻研究から手を引いたビルには、断念した観測装置の開発という心残りがあった。
という人間ドラマはそこそこに、巨大竜巻の驚異をただただ見せつけるディザスターアクションに徹した映画は、そこそこにエキサイティングで、テンポよく引っ張ってくれる。
そして、なんだかホンワカとハッピーエンドを迎えるのだった。
メデタシ、メデタシ。

kazz