チャイナ・シンドロームのレビュー・感想・評価
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感動が、ブラジル・シンドローム
もっともっと、色んなメディアで取り上げられるべき映画だと思いました。リアルという表現も陳腐なくらい形容し難い真に迫った描写、終盤の「もうダメだ」と思わせる絶望感はここ最近の映画には無いレベル。ラストは観るものに深い余韻と疑問を投げかけます。
そして、ジャック・レモン。先日「お熱いのがお好き」を鑑賞してそのコメディエンヌ振りを堪能しましたが、一転して本作ではシリアスな演技を披露。名優とはかくありきといったぶっち切りの演技力で、佇まいから表情まで本当に魅せられました。凄い映画だと思います。
「100%安全」はないが「正確な情報発信」はできる
原発の恐ろしさを40年以上も前に伝えてくれている作品で、福島原発事故を思い起こす。
正しい情報は今でもどこまで国民に伝えられているのか疑わしいと思うのは自分だけであろうか?
映画では正義感のある人々がいたから甚大な事故に繋がらなかったが1人が重傷を負い、1人は死に追いやられた。
キャスターとクルーの恋愛なんか入ってくる余地もなく本当に原発の恐ろしさを伝えたかったのがわかる。
改めて原発の恐ろしさを再認識できたし情報の大切さを思い知らされたが我が国の政治家や官僚には正しい情報発信が期待できるのだろうかと不安を感じる。
原発で働いている人がこの映画を見たらどういう風に感じられたのだろうか・・・・
無音のエンドロールの意味
スリーマイル島原発事故の3ヵ月前の公開、事故を予言したと有名
原子力発電所の事故隠しの内幕を描いています
利益と安全のバランス
100%の安全なんてものは世の中に存在しないことは少し考えれば当たり前のこと
経済的な合理性の範囲内で十分な安全を図ることで文明社会は成り立っています
鉄道だって飛行機だってガスコンロだって同じです
しかし原発事故は一旦起こった時の被害の甚大さと後世にまで数十年以上もしかしたら数万年に及ぶ取り返しのつかない事態を起こすところが違うのです
そこが普通の利益と安全のバランスと違うところ
そんなことは百も承知のこと
しかし事故はスリーマイル島で起き、チェルノブイリで起き、福島で起きました
大事には至らなかった小さな事故ならそれこそ無数に世界中の原発で起こってきたはず
かといって原子力を無くしてしまえというのは、もはや私たちは後戻り出来ないところに来てしまっているのも現実なのです
電気なしには暮らせませんし、いまさら二酸化炭素を盛大に排出する火力発電所に頼れません
再生可能エネルギーは所詮付け足しに過ぎないことも現実をみればあきらかなこと
私たちは知恵の実を食べてしまったアダムとイブなのです
楽園を追放されてしまったのです
イチヂクの葉で陰部を隠すように、原子力事故発生の恐怖を意識の下に押し込んで隠してしまうしかないのです
本作は同時にテレビ局の内幕を描いてもいました
マスメディアは正義の味方?
そうではない
ジャーナリストは正義の味方?
そうではない
個人が正義を貫いたかどうかなのです
フリーのカメラマン、ステップアップを目指す女性レポーターがそうであったからです
福島の悲劇
マスメディアは電力会社や政府を批判はすれど、自らの責任には自己批判をしていたのでしょうか?
マスメディアの責任の有無を検証したのでしょうか?
電力会社からの大量の広告収入に麻痺させられてきたことはなかったのでしょうか?
マスメディア自身も電力会社と同じく、利益と公衆の安全のバランスの上に成り立っていたのです
マスメディアが正義だとか、ジャーナリストが正義だなんて嘘です
あの二人が居なければマスメディア自身が事故報道を封印して、本当の原子力災害が起こっていたはずなのです
個人が正義を貫けるか?
個人の利害、所属する組織の利害を超えて、正義を貫ける信念を持っているかどうかです
それだけなのです
まるで本作で描かれたことがこの日本でも起こっていたとは言えなくはないのでしょうか?
その正義を貫くべき時が、自分にもあなたにも訪れることがあるかも知れません
その勇気を持てるかどうかなのです
家庭、将来、安定
そんなものを全て脳裏から振り捨てて、正義を貫けることができるのか?
それが本作が私たちに問われていたことなのです
でも個人が正義を貫いたとしても、果たして電力会社やマスメディアという巨大組織に通じるものなのか?
劇中の公聴会のシーンでいくら意見をしても聞く耳を持たない電力会社に反対派の人々は口を縛って無言のパフォーマンスをしていました
本作のエンドロールもまた無音でした
無言の抗議だったのです
個人の行動は無意味なのではない
やれることはあるのだ
そういうメッセージだったのです
初老の原子炉管制室の主任を演じたジャック・レモン
流石の名演技でした
コメディ風味は封印してシリアスに徹しています
しかし目の色、表情にはシリアス一辺倒だけでない様々な感情の動きが伝わる物凄いものでした
アカデミー賞初め多くの映画賞を獲得したのは当然です
重いかなって思ったけど
原発発電に関する社会問題を扱った重い作品かと思って気が進まなかったのですが、面白いと聞いたので観てみました。実際社会問題を扱っている作品なので娯楽作品とは違いますが、娯楽作品を観ている並みに緊張感とハラハラを味わう事ができます。
企業の上層部の思考回路などがリアルで、実際こうなのかなーっと思わせるものがありました。
原発社会に生きてる者として観るべきだと思いましたが、単純に面白い作品が観たい方には本当にオススメだと思います。
社会派サスペンス映画
途中微睡みつつなんとか鑑賞。1979年制作ながら今観ると鮮明に心揺さぶられるね。そして我らがジャック・レモンは流石の怪演でした。あと、あのおっさんがよかった。メガネのおっさん。「親友でした」って言うおっさん。
これと同じようなことが日本で起こるとは。
原発事故の内部告発の話で、運営側が事故を隠そうとするところとか福島原発を思い出したなぁ。
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劇中で何度も原発のおかげで電力を供給してるのにとかそういう話が出てきたけど、死ぬぐらいなら電気ない方がましだよ?と思ったね。
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とにかく40年ぐらい前の映画だから証拠資料が紙だったり、情報を流すのに何がなんでもテレビでという感じだったけど今だったらデータで送っちゃえば早いし、ネットで拡散した方が早いよね?(笑).
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そして、ついにテレビで放送したのに話が専門的すぎるのと緊張で何言ってるか分からなかったのは、放送前に時間あったんだから練習しとけよと思ったよ。
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あとドアもちゃんと開けられないか見張っとけ!!.
これは観るべき
これは観て知っておくべき映画。
原発とはこーゆう危険も起こりえるし、こんな危険なものに囲まれて生きているんだってことを知ってほしい。
代々残していくことしかできない核のゴミ。
集団的自衛権を容認した政府。
後戻りをするのは難しいんだよ…
有意義な映画
総合:70点
ストーリー: 75
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 60
東日本大震災後の福島の原発事故が起きる前、日本でも電力会社が「日本の原発は絶対に安全」などとまるで神のごとく完全な信頼があるかのように振舞っていたのを覚えている。そもそも人間の作るものに完全なものなどあろうばすがない。彼らは何をもってそのように思い上がったことが言えたのか。実際に福島の事故以前にも日本でいくつかの原発事故が発生し、しかもそれを情報公開しなかったなどの見苦しい失態を重ねた。そして今回の福島の事故、やはり対応が遅れ情報公開が遅れ、問題だらけである。この映画のような会社の都合による情報公開や運営が結局どこででも実行されうるという意味で、この映画は公開から30年以上経過して今だにとても先見性があったと言える。
実は私は経済的観点から全面的な原発反対派ではないのだが、それでもこの映画だけではなく現実にこれに近いことが起きているであろうことにはやはり恐怖を抱いてしまう。このような啓発的な映画が偶然にもスリーマイル事故の直前に公開され人々の関心を引いたことは、社会にとって今なお有意義である。
現実が映画を超えてしまった今、改めて考えたい
原子力発電所の事故にまつわるサスペンス。1979年、米公開直後にスリーマイル島原子力発電所事故が起きてしまい話題となった作品だそうです。
観たことはあるんです、たぶんバブルの頃。でも何につけ楽観的な風潮だったし、日本の原子力発電所はまだまだ施設が新しかったし。なにより日本のお役人を信じていたし。
情けないけど、SFを見るような印象だったかもしれない。
現実が映画を超えてしまった今、稼働中の施設も多くが老朽化してきた今、改めて観て考える機会を得たのはありがたいことでした。
魅力的な登場人物を演じたジェーン・フォンダ、ジャック・レモンは素晴らしかった。制作・主演を兼務し、問題を世に問うたマイケル・ダグラスの涙は本物、感動しました。
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