劇場公開日 1979年9月15日

「【”メルトダウンの恐ろしさと、それを隠蔽しようとする原発会社。”今作は、原子力発電の孕んだ危機を世に初めて映像として出した意義ある作品である。】」チャイナ・シンドローム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”メルトダウンの恐ろしさと、それを隠蔽しようとする原発会社。”今作は、原子力発電の孕んだ危機を世に初めて映像として出した意義ある作品である。】

2025年1月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

ー 40年以上も前の作品でありながら、2025年の現代に観ても恐ろしき作品である。それは、この作品以降に現実に世界で起きたメルトダウンの恐ろしさの数々<チェルノブイリ原発事故、福島第一原発事故>を実体験して来たからであろう。
  故にこの作品の意義は公開当時以上に増していると思うのである。-

■原子力発電所を取材中のTVキャスター、キンバリー(ジェーン・フォンダ)とカメラマンのリチャード(マイケル・ダグラス)らは偶然にも事故現場に立ち会うが、TV局の上司ドン・ジャコビッチ(ピーター・ドゥナット)はなぜかそのニュースを放映禁止にする。
 また、それをきっかけに施工の際の溶接の不具合による振動に気付いたベテラン技術者ジャック・ゴデル(ジャック・レモン)は、原発を止めるように求めるが、阻止され強硬手段として制御室に拳銃を持って立てこもる。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・取材の際に偶々出くわした事故を目撃したTVキャスター、キンバリーとカメラマンのリチャードの、あわてふためくジャック・ゴデル達の姿を見て、原発会社側の些細な事故と言う発表を鵜呑みにせずに、ジャーナリスト魂で真実を求める姿。

・又、ジャック・ゴデル自身も自分だけが感じ取った”振動”の原因を追究していく過程で、施工時の溶接の不具合と、確認過程で施行会社がキチンとした確認を取らずに、同じ写真を焼き増しして、調査回数をごまかしていた事に気付いた時の驚愕の表情をジャック・レモンが、正に迫真の演技で魅せている。

<ジャック・ゴデルが原発を止めようと制御室に立てこもる中、原発会社社長がバーナーで戸を溶断させ、特殊部隊の発砲により彼が射殺されるシーン。
 だが、TVカメラの前でそれまで会社側に立っていたジャックの親友の同僚テッド・スピンドラー(ウィルフォード・ブリムリー)が言い放った言葉。”彼は異常ではなかった。異常なのは、会社側だ。”
 そして、無音のエンドロールが延々と続くのである。
 今作は、メルトダウンの恐ろしさと、それを隠蔽しようとする原発会社”原子力発電の孕んだ危機を世に初めて映像として出した意義ある作品なのである。>

NOBU
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年1月11日

私が本作を観たのは45年前ですが、おっしゃる通り現在の方が意義が増していますね。

Mr.C.B.2