劇場公開日 1958年1月10日

「追い詰められていく恐怖。」地下水道 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5追い詰められていく恐怖。

2023年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映像文化ライブラリーでの「ワルシャワ蜂起 メモリアル上映会 Warsaw Uprising memorial 」で鑑賞した。
上映前に、ヨアンナ・サドフスカ氏(ワルシャワ蜂起博物館学芸員)による15分程度の紹介挨拶があった。
「アンジェイ・ワイダ監督によるとこの映画は「半英雄的」とのこと。
ソ連の影響の中、共産体制のもとでチェックを受け許可を得て撮影が始まった。
後半のシーンの地下の下水道はセットで撮影された。まだ当時の状況を知る多くの人が生きている中で、勇ましく戦うシーンを期待した人が多かったが、この映画はそうではなかった。
しかし、第10回カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞(1957年5月)で評価が変わった。」

ドイツ軍に追い詰められ兵士たちは、地下水道で移動することを余儀なくされる。どこに行けばいいのか。暗闇の中で不安と恐怖が襲う。中でも女性が兵士とともに移動するが力強いのである。たんだんと精神的に追い詰められる絶望的な中で、エンディングに向かう。ポスターの写真はエンディングの中のシーンの一つ。

この映画は、ワルシャワ蜂起の歴史的、政治的な流れをある程度調べて見たほうがいいと思う。この映画ではそのような説明はほとんどないのだから。また、派手な戦争シーンもほとんどない。

日本でも戦後多くの戦争映画が製作されたが、兵士の戦いの悲惨さを描く映画も多かったように思う。

<映像文化ライブラリーの解説>
ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督のデビュー作『世代』と、続く『灰とダイヤモンド』と共に抵抗三部作と呼ばれている1作。ドイツ占領下のワルシャワを舞台に、ドイツ軍に追いつめられ、地下水道をさまようレジスタンスたちの姿を描く。暗くて狭い地下水道を虚しく彷徨う人々が恐怖と不安に追いやられていく様は胸が掴まれる。悲惨な運命の末路は、ポーランド映画史上、強烈なエンディングとなっている。

2023/11/17 広島市映像文化ライブラリーにて。

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M.Joe