探偵スルース
解説
ロンドン、ニューヨークを始め、世界各国でヒットしたイギリスの劇作家アンソニー・シェーファーの同名舞台劇の映画化。シェーファーはアルフレッド・ヒッチコック監督の「フレンジー」のシナリオも書いている。製作総指揮はエドガー・J・シェリック、製作はモートン・ゴットリーブ、監督は「三人の妻への手紙」「大脱獄」のジョセフ・L・マンキウィッツ。脚本はシェーファー自身、撮影はオズワルド・モリス、音楽はジョン・アディソン、美術はピーター・ラモント、セットはジョン・ジャービス、編集はリチャード・マーデンが担当。出演はローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン。
1972年製作/135分/イギリス
原題または英題:Sleuth
ストーリー
世界的に有名なイギリスの推理小説家、アンドリュー・ワイク(ローレンス・オリヴィエ)。彼の小説の主人公であるセント・ジョン・メリデュー卿は、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ、アガサ・クリスティーのエルキュール・ポワロと並ぶ名探偵だ。アンドリューは、ロンドン郊外にある豪華な邸に美人でセクシーな妻マーゲリットと住んでいた。彼女には、美容院を経営するマイロ・ティンドル(マイケル・ケイン)という愛人がいた。ある日、アンドリューは手紙でマイロを自宅に呼び寄せる。彼は、妻とマイロの関係を知っていた。しかしマーゲリットは贅沢な女なので、二人が結婚してもマイロが物質的に彼女を満足させることはできない。アンドリューは莫大な金額にのぼる宝石類を密かに金庫に入れており、その宝石には保険をかけていた。そこで、マイロに宝石を盗み出させて海外で売り飛ばし、手に入れた金でマーゲリットと暮らせばいい、と申し出る。自分も保険金を手に入れ、年若い愛人ティアと一緒になるつもりだ、と言うアンドリュー。宝石を売るアムステルダム故買商や、マイロが受け取る金額、アンドリュー名義の領収書などは一切手配済みで、警察に捕まる心配はない。マーゲリットは旅行中で、召使には暇をとらせている。だが、盗みはもっともらしく行わなければならない。完全犯罪を成し遂げるためには万全の注意がいると、アンドリューは手の込んだお膳立てを整える。彼の指示で、マイロは道化師の衣裳をまとい、外からはしごをかけて二階に入り、金庫を爆破して宝石箱を取り出し、邸中を引っかき廻す。そのうちアンドリューの態度は微妙に変化し始め、マイロに拳銃を突きつける。そして、格闘中に射殺したことにすれば罪には問われないし、警察やマーゲリットは、マイロは宝石目当てだったと思うだろうし、何よりも自分の妻を奪った憎しみが晴れると言い出した。逃げ惑うマイロは泣いて命乞いするが、アンドリューは容赦せずに拳銃の引き金を引く。マイロは階段の下に転落する――。数日後の夜、アンドリューの邸に行方不明になったマイロを捜す老刑事が訪ねてきた。刑事は壁に残された二発の弾痕を発見し、巧みな尋問でアンドリューを追い詰め、自分の正体を露にする。しわだらけの顔の下から現れたのは、マイロの若々しい顔だった。アンドリューが発砲したのは実は空弾で、屈辱的なゲームを味わったマイロは、アンドリューに復讐すべく罠を仕掛けた。ティアを殺し、その証拠を邸内に隠したというマイロ。そして数十分後には、本物の警察がやってくる。狼狽したアンドリューは家中を這いずり回り、証拠品を残らず見つける。その時チャイムが鳴る。しかしこれは全て、ティアの協力を得てマイロが仕組んだトリックだった。このゲームはマイロの勝ち。マイロは、アンドリューが不能であること、そしてマーゲリットがもう家には戻らないことを告げ、最後に彼の小説を非難して立ち去ろうとする。その時、アンドリューは実弾の込められた拳銃をマイロに向けて発射した。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョセフ・L・マンキウィッツ
- 脚本
- アンソニー・シェイファー
- 原作
- アンソニー・シェイファー
- 製作総指揮
- エドガー・J・シェリック
- プロデューサー
- モートン・ゴットリーブ
- 撮影
- オズワルド・モリス
- 音楽
- ジョン・アディソン
- 編集
- リチャード・マーデン
受賞歴
第45回 アカデミー賞(1973年)
ノミネート
監督賞 | ジョセフ・L・マンキウィッツ |
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男優賞 | マイケル・ケイン |
男優賞 | ローレンス・オリビエ |
作曲賞(ドラマ) | ジョン・アディソン |
第30回 ゴールデングローブ賞(1973年)
ノミネート
最優秀作品賞(ドラマ) | |
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最優秀主演男優賞(ドラマ) | マイケル・ケイン |
最優秀主演男優賞(ドラマ) | ローレンス・オリビエ |