劇場公開日 1975年6月28日

「他人のフリ見て我がフリ直せ」タワーリング・インフェルノ ストレンジラヴ氏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5他人のフリ見て我がフリ直せ

2023年7月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

興奮

「この建物だけは燃えないと思っていたよ」
「私もだ」

午前十時の映画祭にて鑑賞。
当初は観るつもりはなかったが、某音声アプリでのあまりの推しの強さに観てみることにした。
見くびっていた...開始早々のヘリコプターのシークエンスの時点で既に心を持っていかれた。何よりも劇場で観たことが大英断だった。
途中やや進みが遅いなと感じる部分はあるものの、他には文句のつけようがない。強いて言えば、一昔前のテレビ東京「午後のロードショー」が「遠過ぎた橋」で行っていたような、テロップでの解説が付いているとより親切かと感じた(ポール・ニューマンは今何階にいるetc.)。
しかしこの作品の内容を馬鹿にできるかと言われれば、そうではないと思う。本作内で描かれる惨禍は、予算と金儲けを理由に設計者の意向を無視した施工者の欠陥工事に原因があり、また設計者も工程を管理していなかった点にある。火事になる/ならないに関わらず、この手の話はどのビジネスシーンでも起こりうる話で、安全に金はかけてもかけすぎることはないと改めて実感した。
そして何よりマックイーン。一挙手一投足、その全てがもう憎らしいくらいにかっこいい。彼のセリフや所作を追いかけたことが、いずれはどこかの場面で自分を救うことになるのではないかとさえ感じた。
何より今回は見出しをどうするかに本当に迷った。作品を全編通して集中して観るために、レビューの見出しは劇中のセリフから選ぶことをマイルールとしているが、今回は珍しく「探す」のではなく「選ぶ」ことに苦労した。刺さるセリフが多い作品が駄作な訳がない。
文字通り人生の財産となる一作。自戒も込めて今後も繰り返し観たい。

※フレッド・アステアが持っていた株券、「アナハイム電力(パワープラント)」でしたか。惜しいなぁ…もし「アナハイム電子工業(エレクトロニクス)」だったら心の底から笑ったのだが。

ストレンジラヴ